コラム・エッセイ
防災はまちづくり? 《秋の周南市総合防災訓練に向けてⅧ》
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修いよいよ防災訓練まで秒読み段階となった。タイムテーブル通りに滞りなく進行できるかと問われて、正直自信はない。やってみなければわからないという無責任な返答しかできないが、今までやることはやってきたと思う。
繰り返しになるが、今回の災害想定は大雨の後に地震が発生し、道路が土砂崩れで完全に通行不能となり陸の孤島になったというものだ。そうなるとすべてを在須金の力で解決しなければならない。地震で家屋の倒壊があるかもしれないし、その下敷きということも考えられる。
しかし道が不通ならよそから誰も助けに来てくれない。仮に道が通れても大規模な地震で広範囲に被害があれば山奥の過疎地など後回しになるであろうことは想像できる。人の数が多いまち中から救助するに違いない。決してひがみ根性で言っている訳ではないが、おそらく優先順位は最下位で、順番を待っていたら助かる命もダメになる。
今回の訓練では地震で車庫が倒壊して下敷きになった車が変形し、ドアを開けることができない。乗っている人を何とか救出しなければならないという見せ場がある。これを須金の力だけで何とかしようというものだ。
まずは初動対応として須金が誇る災害対応バイクが登場する。このバイクには拡声器や夜間でも作業ができるようにサーチライトがついているし、ジャッキやバール、スコップ、救急箱などが搭載してある。
倒壊した車庫の柱などをジャッキやバールで排除しながらなんとか車の近くまでたどり着き、生存は確認したものの大きな木材が行く手を阻み、ドアも変形して開けられない。人力ではどうにもならずに応援を要請。そこで地元須金の消防団が登場する。
工作救助用の車両にはチェーンソーやスプレッダー(油圧でこじ開ける道具)が搭載されていてそれらを駆使して要救助者を救出し、
救護所まで搬送するという筋書きだ。とってつけたようなものだが、もし孤立したらこんなことも地元の力だけで完結しなくてはならないのだ。
つい先日、消防団も車両を出してこれらの手順の確認や、情報収集班も臨時のアンテナを立て地区内の情報収集や市役所本庁までの伝達訓練も実際に電波を出して中継するなどの予行演習をした。さらに数百人分の炊き出しもあることから、大鍋や調理器具の準備や点検もした。
こうした準備を通して須金の人が今、一つになろうとしている。皆さんの真剣な表情や、おばさんたち(失礼。おねえさんたち)が冷たい水で黙々と洗い物をされている姿を見て、もう9割方は訓練は成功していると思った。
当日の分刻みの進行は主催者(市)にとっては最重要課題かもしれないが、須金のみんなにとってはさほどのものではないかもしれない。

もし孤立したら地元の力だけで完結しなければならない

臨時のアンテナを立てて基地局設置の訓練

冷たい水で黙々と洗い物をする
