コラム・エッセイ
「有朋自遠方来 不亦楽乎」
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修田舎暮らしでしかも農林業というのは日々の生活で出会う人も限られる。日によっては朝から晩までで出会った人、というより視界に入った人の数を数えてみても片手で余ることもある。価値観にもよるのだろうが、それが不幸とも思わないし寂しいとも思わない。若い時なら考えられないが、照っても降ってもやることが山のようにあり、日々優先順位を入れ替えながらゴソゴソと動き回っている。もっともいくら動いても給料がもらえるわけでもなく、銭金勘定で考えると非効率はなはだしい。
巷では自動車販売会社が売り上げを確保するためにお客の車を傷つけ、さわってもいないのに部品代や工賃を請求するなど、儲けに執着するあまり善悪のフィルターを放り投げた組織ぐるみの不正が話題だ。それにコメントする人格も素養も無いが、憤りなど通り越して人として情けなささえ感じる。まあ田舎の貧乏人のひがみだが…。
世間のしがらみを意識して避けるような暮らしでも特別に不満もなく、それなりに体の不具合とも共生して静かに穏やかな?日々を送っているが、最近ささやかだがいくつかの出来事があった。
今でこそ頻度は年に数回に減ってはいるが、鳥取県の山岳会「米子登攀俱楽部」の人達と一緒に山を歩いて久しい。正月明けの雪の大山に登ったが、前泊した山小屋で酒の勢いもあって「今年は山口の山に遠征したいねえ」という話で盛り上がった。組織として動いているだけに思いつきがそのまま形にならないのがいいところで、総会で年間計画に入れるべく諮って日程を決めるという手順を踏み、7月に実施となった。
ただ時期的に梅雨明け前で雨の確立が高い。おすすめは11月の紅葉の時期に県境の山々を巡るのが趣もありいいのだが、恒例事業も外せないとのこと。ならば遠方から来ても移動が楽で大雨でも対処できる山をと太華山を推薦した。
メンバーの活動エリアは全国区。烈風吹きすさぶ厳冬の山にも果敢に挑戦する猛者揃いで小学校の遠足に登る太華山など山のうちには入らないと拒絶されるかとも思ったが、さすがは正統山屋だ。何一つ文句もなく受け入れてくれた。
果たして当日は予報通り朝から雨。ひょっとして前日に天気が悪いから中止するという連絡が来るかとも思ったが杞憂に終わり、待ち合わせ場所に意気揚々と現れた。後は手慣れた素早い行動であっという間に出発準備完了。カッパあり、傘あり、どうせ濡れるからとそのままありで行動開始。
道中の石像や眼下のコンビナートを眺め、瀬戸内の島々を遠望しながら低山なりの良さを堪能して大島まで縦走して大満足。それで終わらないのが大人の集まりで、寝袋持参で我が家をねぐらとし、時間を忘れての大交流会開催となった。尽きない山談議に耳を傾けながら「有朋自遠方来 不亦楽乎」と頭の中をめぐる。
尽きない山談議に耳を傾けながら「有朋自遠方来 不亦楽乎」と頭の中をめぐる

梅雨明け前で天気を心配していたが予報通り雨:カッパあり、傘あり、どうせ濡れるならとそのままあり

低山でも趣のある縦走路でなかなか良かった
