コラム・エッセイ
「2023年を振り返る」
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修あっという間に年の瀬がきた。「時が過ぎるのが早い」と、ボヤキなのか嘆きなのかは分からないが歳をとってからのこの時期の常套句となってしまった。
最近はスマホのカレンダーでスケジュール管理をしていて日々用事の種類ごとに色分けしている。パッと見に実に賑やかで多忙そうに見えるが、今思えばどうでもよいようなことに時間を費やしたこともあるし、途中で放り投げたままのことも多く悔いもある。残存時間が有限だということに気付き、これからは取捨選択が課題の一つになりそうだ。
あらためてこの一年をさかのぼってみると、他人からみれば「それがどうした」という自己満足ものばかりだが、自分なりにベスト3を選んでみた。
一つ目は銭金勘定なしで以前から続けている自称「里山景観復活プロジェクト」だ。身近な農地が荒廃するスピードが凄まじく、かつての美田が見るも無残な原野となり、いわゆる「里山」も荒れ放題で足を踏み入れることさえ難しい。人家直近の裏山がイノシシの巣となり、放置された柿を熊が狙う有様だ。
この現状をノスタルジックに僅かでも昔の景観に取り戻そうと、放牧した牛達との共同作業で少しずつ見通しを良くしてきた。春には去年秋に播いたレンゲが咲揃って元の田んぼの姿に近づいて来ることを実感した。まだまだ道半ばではあるが農地復元への手応えを感じ、次世代の人達につなげるのが夢だ。
二つ目は地元須金での防災活動の話だが、顛末は忘れてしまったが力も知識もないのに防災部長を引き受けて10年近くになる。当初は長くても5年間だけと引き受けたがずるずると長居をした。何から手を付けてよいのかさえ分からぬままスタートしたが、多くの皆さんの協力で須金の防災力はハード、ソフト両面で整ってきつつある。
災害時の停電対策にと太陽光発電で蓄電できる設備を導入し、無線での通信手段確保のため須金市民センターにアンテナや無線機も設置できた。
錦川の水位監視カメラも須金の自力で設置した。コロナで一時規模縮小はあったものの、11月の地区防災訓練では在須金の組織が横並びで動ける仕組みも見えてきた。
過疎高齢化が著しく、限られた人材のやり繰りは今後も課題として残るが道筋はついたような気がする。このあたりでフェードアウトして新たな視線で動ける人に託すことも大事だと思う。
三つ目はコロナをせいにして丸4年間マラソンとは無縁だったが、先日「萩城下町マラソン」に出て息絶え絶えでも完走はできた。スポーツの世界ではトレーニングをサボったら復活までにはサボった期間の倍の時間が必要だという。年々衰える体力を考えると老人には8年は不可能な数字で、マラソンの世界からも身を引くのが賢い年寄りなのだろうが、痛む膝をさすりながら「まだ出来るかも…」と自虐心がうずくからいけない。
この1年間「おじさんも頑張る!」にお付き合い頂き有難うございました。

かつての美田が見るも無残に荒廃していたが、牛との共同作業で年々見通しが良くなってきた

須金の防災力はソフト、ハードとも向上してきた:ソーラーシェルター(太陽光発電と蓄電機能を備えた防災倉庫)を設置

4年間のブランクで息も絶え絶えだったが萩城下町マラソンを完走できた
