コラム・エッセイ
走れ!おじ(い)さん2025~長い言い訳
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修昨年は随分と足腰の故障に悩まされた。夏にはぎっくり腰で唸り、秋には肉離れで足を引く。痛みに耐えかねて整形外科に駆け込み3週間の安静が必要と告げられ、それを愚直に守って師走間近になってようやく動けるようになった。
コロナ禍の数年間は中断していたが、毎年夏の暑さから解放される秋口からぼちぼちと走り始め、冬から春に向けてのマラソン大会に備えるのを恒例としていたが、今季はそれが叶わずにいきなり本番で走り始めるという、少々無謀な展開となった。
先に断っておくが、決して「走るのが大好き」とか「マラソン命」みたいなランニング中毒ではない。走った結果としての記録は気にするし、早くなれば当然うれしいし励みにもなるのだが、所詮は年寄りの自己満足でしかない。
聞くところによるとマニアックな市民ランナーは練習で月間300キロ以上走るという。日割りにすると毎日10㌔を走る計算になり、もし都合で走れない日があれば穴埋めに20㌔、30キ㌔走らなければならない勘定になる。
そんな時間も体力も根性もないので所詮は他人事だが、結果は走った距離にある程度は比例するのは確かで経験済みだ。ただ、加齢に伴う体力の低下や足腰の不具合をカバーするには限界があることも経験中だ。
昨年12月8日に「萩城下町マラソン」を走った。昨シーズンの記録はコロナのブランクがあっても1キロあたり多少の余裕もって5分を切って走れたが、ようやく本番一週間前からヨタヨタと走り始めた状態で、完走さえ不安なスタートとなった。
前半は勢いで周りについて行ったが、終盤は力尽きて足がもつれ這うように何とかゴールした。記録は1キロあたり5分を大きく超えてしまった。
2月2日に「くだまつ笠戸島アイランドトレイル」を走った。実はこの世に山坂を登り下りするトレランという競技があることを知ってはいたが、昨年冷やかし半分で途中棄権を前提におちゃらけ参加した。
ところが制限時間内に完走できた。しかも年代別で1位という奇跡がおきた。これに気を良くして今年も再挑戦したという次第だ。
エントリーしたのはぎっくり腰の痛みが取れて肉離れ事件前で、さあ今年も走ろうか!と気勢もあがったところだった。当然この状態で昨年通りの展開は不可能だと半ばあきらめモードでスタートした。
結果は昨年より7分近く余計にかかったものの順位は3位でちょっと残念。足腰の故障で思うように走れなかったし、コースは前日の雨でぬかるみ、愛用の靴は底がすり減って何度も滑り転んだ。
後続のランナーが大げさに転ぶ年寄りに「大丈夫ですか?」と心配して声掛けしてくれる。しこたま木の根や地面に腰や膝を打ちつけ、泣きたいくらい痛くて座り込みたいほどだが、苦悶の顔を見せまいと「先に行って…」と強がり見栄を張る。
足腰の故障がなければ。靴さえ新しくて滑らなければと長い言い訳を考えている。

萩城下町マラソンのスタート直前:完走さえ不安なスタートだった

昨年おちゃらけ参加して奇跡的に1位だった

スタート前のブリーフィング:昨年通りの展開は不可能だと半ばあきらめモードで臨んだ
