コラム・エッセイ
走れ!おじ(い)さん2025〜振り出しに戻ってしまった②
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修肋骨を骨折してからひと月半が経つ。ようやく痛みも取れて普通に動けるようになった。はじめの1週間は僅かな動きでもかつて経験したことのない激痛に只々耐えるしかなく、寝床からの起き上がりに苦戦し、寝返りさえままならない状態で気になる作業もほったらかしにするしかなかった。
特に体をひねる動作が出来ないので草刈り機のエンジンをかけるのにスターターロープを勢いよく引っ張れない。気温もどんどん上がり雑草が伸びる勢いに気が気でない日が続いた。
2週間目になってやっと草刈作業が出来るようになったが、痛みの出ない態勢を探りながら恐る恐るやるので、とんでもなく効率は悪いし長続きしない。
今年も「山口型放牧」で我が家に牛がやってきた。当初は5月中旬頃に入牧ということで連休明けからボチボチと放牧予定地の周囲の草刈りと電気柵の整備をする予定だったが、諸事情で5月末にずれ込んでしまった。
幸か不幸かこの半月の遅れで牛達の受け入れ準備を済ますことができた。やれやれだ。
年を取ると何でもない段差に躓いたり、このくらいは大丈夫だろと飛び降りて転倒して骨折する等の話を他人事のように聞き流していた。自分はまだ大丈夫と根拠もなく思ってはいるが、振り返ってみれば昨年から何で?という状況での怪我が続き、やっぱり歳相応だと認めざるを得ない。
機械は負荷をかけた時間に比例して劣化が進むが、動きが悪くなれば(なる前に)油やグリスを注したりのメンテナンスをし、いよいよ調子が悪くなれば部品の交換をすれば復活し、その気になれば何十年でも使うことができる。
ところが人間の経年劣化は無理をしないで穏やかな環境で暮らせばある程度は進行を遅らせることも可能かもしれないが、不調の部品をそう簡単に交換はできないし人による差はあっても必ず寿命が尽きるのもみんな知っている。
新聞やテレビの宣伝は足腰に効く。物忘れに効く。髪が生えてくる。眼が耳が血圧が血糖値が…とサプリメントや健康器具のオンパレードだ。これらが油やグリスになるのかもと食指が動きそうにもなるが…。
走るとなると腕を振る動作とセットなのでとてもではないが痛くて無理だ。体をひねらないように脇を締めて痛くないポジションを探してキープすれば走れないこともないが、そんな手も咄嗟に出せない態勢でつまずきでもして別の箇所を怪我するだけだ。
丸々1カ月以上走れなかったし、計画していた山歩きも中止した。頭の片隅ではひと月もすれば復活するという意地と、もういい歳なんだから足がピクピクと痙攣するほど走らなくてもいいじゃないか。
ゼーゼーハーハーと心臓にも肺にも負担がかかるような無理をすると寿命が縮まるかも…などと弱音が拮抗していた。が、やっぱり振り出しに戻ってしまったが、今からでも走れば秋までには必ず復活できる!という妄想が勝ちそうだ。

牛達が来るまでに放牧地周囲約500メートルの柵を整備しなくてはならないが…

幸か不幸か、入牧は予定より半月遅れとなり準備は何とか間に合った

今年も牛達と二人三脚?で里山復活整備だ
