コラム・エッセイ
「今年も考えさせられる夏2025」
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修ここ数年、地球規模で過去に経験したことのないという天変地異的な気象災害が頻発している。身近でも降れば大雨、晴れれば干ばつや高温。冬も思わぬ大雪や低温と極端な天象に翻弄され続けている。ここ最近は会う人、出会う人との開口一番は「毎日暑いのお~」で始まり、連日のように出される熱中症警戒アラートも常態化して狼少年的に今日もか…と受け流すしかない。
各地でこの時期の最高気温や熱中症で搬送された人の数も更新されたというニュースを毎日のように聞く。ついに事業者に熱中症対策を義務化するなど、ひと昔前では考えられない状況となってきた。
一人親方の自営業となれば全ては自己責任で自分の身は自分で守るしかないが、外で本気で作業ができるのは早朝から動き始めて午前中が精一杯で、陰が無い中ならせいぜい10時半まで頑張って後は惰性で動く。もちろん電動ファンのついた空調服は必需品で、水分もこまめに摂れば半日で1㍑は消費する。
それでも人は自分の意志で時間や場所を選び、空調服を着て水も飲めるし、いよいよとなればエアコンのある場所に逃げ込めるが、畑の農作物など悲惨なもので、頼りの雨も降らずにジリジリと焼けつくような炎天下ではきっと拷問に遭っているようなものだろう。
昨年は植え付けて数年目の柚子の若木が今日こそは明日こそはと望みをかけた夕立の恩恵にも見放され、高温と水不足で葉が丸まり黄色く変色し始めた。慌てて水を運んで潅水したがそれでもすっかり弱ってしまった木は常緑樹であるにも関わらず冬に全ての葉を落としてしまい、このまま枯れてしまうのではないかとなす術もなく溜息をつくばかりだった。
一方で雑草の生命力は衰え知らずで、暑さを言い訳にちょっと油断している間にますます勢いがついて高くしかも固くなり、草刈り作業も余計な手間がかかるという負の連鎖が待ち受ける。
今年は異例の速さで梅雨明けしたが、 その梅雨の最中に畑の潅水に使うタンクや運搬車、ポンプの整備を済ませた。昨夏は慌てて水を運んだために運搬車のブレーキの効きが甘く、坂道で止めたらズルズルと下がり始めて肝を冷やしたり、ポンプのエンジンが不調で途中で何度も止まったりで都度その場しのぎで誤魔化していた。
もともとスクラップを再生したようなものだが、それ故に何度もあちこち手を入れて構造や難点を知り尽くして?いるので、この際とばかりに不調箇所を徹底整備してペンキまで塗ってすこぶる快調に動いている。
先日来、水を運んで潅水し、日照り続きでも葉も萎れることなく元気に見受けられるが、ポンプのエンジン全開で水を汲み上げ、運搬車は坂道を唸りながら登り、潅水も畑に設置したタンクの補給もエンジンポンプ頼りだが、こんなにガソリンを燃やしながら非効率な方法でいいのだろうか、もっと効率の良い他の方法はないのか、ますますの気候変動に加担ではと日々考えさせられる。

早々に梅雨明けして猛暑続きで潅水が日課となった

水運搬車:昨年は不調だったが梅雨の間に徹底整備してすこぶる快調に動いている

沢からエンジンポンプ全開で水を汲み上げ運搬車で運ぶ。もっと効率の良い方法はないのか…
