コラム・エッセイ
祖母〜傾山縦走記④ 《いつかはクラウン?》
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修県外の山に登るのに登山口まで数時間でたどり着くのであれば自分で運転していくが、運転は5〜6時間が限界で、それ以上かかるなら電車など公共交通機関を使う。というよりも、その微妙な距離の山に登ろうという気にならない。東はせいぜい岡山県、鳥取県。西は熊本県あたりが限界で、近畿や鹿児島県の山など考えたこともない。乗り物に乗るのならいっそのこと信州や屋久島あたりまで行ったほうが諦めがつく。
話題がまた脇道にそれるが、そもそも自動車の運転が好きではない。免許を取り立てのころは運転そのものが楽しい行為だったが、いつの間にか興味がなくなってしまった。ある程度運転時間が経つと飽きてくるというか面倒になってくるのだ。自動車そのものにもさほどの興味はなく、最近は車を見てもさっぱり名前が分からない。
欲しいと思う車もない。昔はカローラ、コロナ、クラウン、サニー、ブルーバード、セドリックぐらい知っていれば9割は該当した。一旗上げて「いつかはクラウン」に乗るのが右肩上がりの世に身を置く庶民の夢の一つだったが、とうとうそれも叶わずに今に至る。「腐っても鯛」というが中古車を探せばボロでもクラウンのオーナーになれようが、山に乗りつけるのには勝手が悪い。
ついでに話をそらす。山暮らしをしていると軽トラは必需品だ。10年経った中古車が我が家にやってきて、それから20年以上使って乗りつぶした。車の年齢は昭和生まれの30才以上となりとうとう往生した。ついに軽トラを新車に買い替えたが、その時だけはカタログを何度も眺めた。何しろこれから30年となればれ人間の寿命のほうが先に来るのは明白で、最後の買い物と思ったからだ。
◇
何度も荷物のチェックをして準備も万端だ。遅い昼食をとって午後2時前に出発。こんな真昼間から運転していることに多少の罪悪感がよぎる。いつもは仕事から帰って夕食や風呂を済ませ、19時を過ぎて走り出す。登山口に日付が変わるころに着いて車中泊というスタイルだ。この時間なら遅くとも午後9時過ぎには登山口に着くだろう。高速を降りたらコンビニで冷えた缶ビールでも買ってのんびり前夜祭だ。
鹿野インターから中国道に入り、九州道、東九州道とつないでいく。数年前にようやく東九州道も全線が開通し、くじゅう山群や祖母山のアクセスが多少は良くなった。それでも祖母山の登山口まで約300キロ以上ある。ナビは到着を5時間半としているが、小一時間に一回はパーキングエリアに入って腰を伸ばし、別府湾サービスエリアに着いたのが19時前で5時間近くかかった。このペースではまだ2時間くらいかかりそうだがちょっと運転にも飽きてきた。まだ時間はあるので30分くらい仮眠しよう…。

車の年齢は昭和生まれの30才以上となりとうとう往生した=お疲れさま!

祖母山の登山口まで300㎞以上ある
