2026年05月15日(金)

コラム・エッセイ

「我が家に牛がやってきた2026」

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 つい先日、今年も我が家の裏山に2頭の牛がやってきた。山口県の進める「山口型放牧」というレンタル牛に草を食べさせて農地を守ろうという事業だが、畜産農家にとっては夏の間は他所で放牧させているので手間がいらないし、借りたほうは草を食べてもらって除草効果を期待できるというウインウインの仕組みだ。

 といっても、放牧地の周囲を電気柵で囲み、飲み水の確保などそのメンテナンス作業は炎天下では楽ではないし、朝夕の牛達のチェックも欠かせない。それでも牛達との二人三脚?で裏山が少しずつでもきれいになっていくよろこびの方が勝つ。

 今年で何だかんだ十何年になると思うが、年々牛達との付き合い方が分かってきたし、何よりその働きぶりがありがたくて、いなくてはならない存在となっている。何せ、一日に数十キログラムの草を食べてくれる。しかも2頭となればその舌刈除草効果は「有り難い」の一言だ。

 もちろん、草刈り機できれいに根本から刈り取ったようなことにはならない。柔らかい好みの草を優先するので疎らになるし、自分が落とした糞の周りは残すし、キク科の草などは苦みがあるので後回しになる。

 それでも好みの草の再生速度とのバランスが上手いこといけば、しかたなく食べ始めて徐々に草丈が低く均等化してくる。草の方も食べられても負けじと新たな芽を出し伸びてくるが、何百キログラムも体重のある牛が固い蹄(ひづめ)で踏みつけ倒すので秋口には遠目にはまるで芝生の生えそろった公園のようになる。

 理想は気温が下がり、草が枯れる時期まで放牧できることだが、何せ借り物なので貸主の都合が優先となり、帰っていく日を逆算して人力による草刈り作業計画に悩むことになるが、牛達がやってくるのは我が家の恒例行事で歳時記の1ページ。冬の間から首を長くして待っている。

 話題は変わるが、3月に須金で山林火災があった。休耕田の刈草を燃やしていて飛び火が近くの山に燃え移ったということだった。全国各地で大規模な山林火災が多発していた時期だけに身構えた。幸い?人命や民家に被害もなく翌日には鎮火が確認され胸をなでおろした。

 そのニュースは地元の新聞、テレビ等のメディアにも出ていたが、気になるのがネット上のコメントの書き込みだ。暇な年寄りが火を燃やして時間つぶしをしている…などというものが何件かあった。確かに火災になったことは問題だが、書き込んだ主は草を刈ったこともないだろうし、そもそもなぜ草を刈るのかの認識もないだろう。

 火元の当人は生まれ育った故郷を荒れさせたくない。いつ親族が帰ってきても良いようにきれいにしておきたいいという、無私で汗をかいているのは痛いほど分かる。

 ヤブ山に戻っても仕方のない裏山になぜ牛を入れるのかに通ずるものがある。

今年も2頭の牛が我が家にやってきた

これからしばらくは二人三脚で裏山の草刈りだ

生まれ育った故郷を荒れさせたくないという気持ちは痛いほどわかる

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