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文化 : 周南市のニュース
[輝く文化 この人この分野]周南文化協会書道連盟
文化周南市空間の美にあこがれて
書道家 長弘聴空(京子)さん(66)
周南市で聴空(ちょうくう)会を主宰して自身の創作と教室生の指導を続け、周南文化協会の市民文化教室の講師も引き受けている。「筆を持つと心がやわらぐ瞬間がある。書きながら言葉の中に引き込まれる。いろんな書体で書いていると同じものでもいろんな表現ができる。山を見ても同じ緑色に見えても薄かったり、濃かったり、バランスがある。書の表現も同じ。空間の美にあこがれています」と語る。
福岡県に住んでいた子どものころから「文字に興味があった」と話す。書道塾に通い、広島県の高校を卒業後、19歳で文化勲章も受章した村上三島さんの長興会に入った。最年少の会員で、制作する村上さんのそばで筆の動きを学んだ。全国展を目指す合宿にも参加した。
読売書法展で特選や新鋭展入選、広島県美展や山口県美展にも出品した。周南市に来て40年になるが、市内の美術作家の近作を紹介する「アートナウ」は前身の周南選抜展のころから出品している。
指導では「生活の中に取り入れられる書を学んでほしい」と話し、個性を引き出すことに力点を置いている。
村上さんに師事していたころは澄泉を名乗っていたが、20年ほど前、大分県の笹倉凌石さんに篆刻を学んだことから聴空の名前を付けてもらった。
鹿野に住んでいたことから、50歳のころから山代和紙の伝承を目指して和紙をすくようくになった。伝統工芸を絶やさないようにという思いからだったが「書と同じで和紙をすくには体力だけでなく精神力が必要」と感じている。
作品は自分ですいた和紙を使い、自分で考えた言葉を書く。落款も自分で作る。「自分ですいた紙だと気持ちがいい。紙から落款まで自分で作ることができる」と笑顔を見せる。