2026年05月12日(火)

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経済 : 下松市のニュース

[この人に聞く] 日立製作所笠戸事業所長 岩崎充雄さん(54)

  • 日立笠戸で生産した北陸新幹線「あさま」(4月23日、上越・北陸新幹線熊谷駅)

海外向け鉄道車両で活況 協力会社と連携永続化へ

 山口県下松市の日立製作所笠戸事業所の新しい事業所長に岩崎充雄さんが就任した。岩崎さんは同事業所を拠点に鉄道車両の製造一筋に歩んできた、久しぶりのたたき上げの事業所長だ。新幹線など国内向けから、台湾、パナマなど海外向け鉄道車両の大量受注で活気にわく同事業所を率いる新進気鋭の岩崎さんに、就任の気持ちと今後の見通しを聞いた。(聞き手・山上達也)

コロナ禍収束後に歴史記念館公開へ

 ―就任のお気持ちからお聞かせ下さい。

 岩崎 非常に大きな事業所の所長になり、身の引き締まる思いです。一つ一つていねいに仕事をしていきたいと思います。

 ―もともと下松のご出身ですね。

 岩崎 花岡の時宗団地(現生野屋西)で生まれ育って、花岡小に通いました。父も日立笠戸で鉄道車両の設計の仕事をしていましたので、何か深い縁ときずなを感じています。

 ―昨年は日立笠戸の創業100周年の節目の年でしたね。

 岩崎 新型コロナウイルス感染症の影響で100周年の記念行事ができませんでした。申し訳なく、残念に思います。100周年に合わせて建設した日立笠戸の歴史記念館も一日も早く公開したいです。早くコロナが収束することを願うしかありません。

英国への「日立車」導入に全力

 ―これまでどんな仕事をされましたか。

 岩崎 入社当時は新幹線車両の設計をしていました。300系からN700系まで設計を担当しました。その後は英国向けの車両の設計を担いました。英国に3年間駐在し、現地の工場で設計の取りまとめをしました。

 ―英国といえば鉄道発祥の地。そこでご自身が設計された鉄道車両が走ることは、この上ない感激だったのではないですか。

 岩崎 それが意外と実感がなかったんですよ。走り始めるまでの記憶は今でも鮮明ですが、走り始めると意外とあっさりしたものです。とにかく問題がないのが一番。気にならないことが実は一番大切だと思いました。

 ―開業時のお召し列車にはエリザベス女王も試乗されましたね。

 岩崎 非常に光栄なことでした。かつて笠戸事業所長を務めた正井健太郎常務(当時)が応対し、女王陛下から「快適で、とても速かったわ」と直接お声掛けをいただきました。その写真は現在も笠戸事業所の玄関で披露させていただいていますよ。

 ―笠戸事業所の業務の現状はどうですか。

 岩崎 引き続き、当面の生産量は多い状況で、多忙な状況が続く形です。具体的には台湾の特急車両600両の生産が大きく、完成する端から出荷しています。国内からも新幹線車両の受注をたくさんいただいています。JR東海、東日本、西日本、九州と計500両前後に及びます。

 ―長野豪雨で水没した北陸新幹線の「かがやき」や「あさま」などたくさんの車両製造も舞い込みましたね。

 岩崎 複数の車両メーカーでプロジェクトを組み、分担して生産しています。

 ―今後の課題はいかがでしょうか。

 岩崎 コロナ禍で2年少し経過し、鉄道各社は乗客が減ることに直面しています。生産にどういう影響が出るのかを見極めていくことが今後の課題です。コロナ禍がクリアできて、鉄道利用のお客様が元に戻れば、元のプラン通りに生産できます。半導体生産不足やウクライナ問題など、一つ一つがいろんな部分に影響しており、その中でどう経営を展開していくのかが課題です。

「道路を走る高速鉄道プロジェクト」を

 ―地元との緊密な連携も重要ですね。

 岩崎 自動車生産とは違い、我々の鉄道車両の生産は日立笠戸協同組合(HKK)など地域の協力会社と緊密な連携で成り立っています。その永続が我々の方向性です。HKKさんをはじめとする各協力会社と課題を共有して進んでいきます。

 ―「道路を走る高速鉄道プロジェクト」は大人気でしたね。

 岩崎 工場の塀の中ではこんなものを作っているんですよということが、あの行事で多くの皆さんに披露できました。一般の方にとって鉄道車両は自動車のように運転するものではなくて乗るものです。地域の皆さんに関心を持ってもらえる大切さを再認識しました。

 ―また実行できる可能性はありますか。

 岩崎 そういう機会がうまくアレンジできれば、再び実行できる一番いい方法の一つだと思っています。

 ―市民の皆さんへのメッセージをお願いします。

 岩崎 下松は私のふるさと。地元で仕事ができることは幸せなことです。地域と連携しながらこの地でいつまでも業務が続けられるように、頑張っていきたいと思います。引き続きご支援をよろしくお願いします。

[プロフィール]

 1967年6月、下松市生まれ。花岡小から松山市の愛光中、愛光高に進み、九州大工学部造船学科を卒業。91年に日立製作所に入社し、笠戸事業所車両設計部で鉄道車両の設計に長く携わり、2016年から3年間は英国の「日立レール・ヨーロッパ」で英国など欧州向けの鉄道車両の生産と導入を担当した。趣味は「好き嫌いなく、オールラウンドに何でも食べ、飲むこと」と笑顔を見せる。

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