2026年01月08日(木)

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経済 : 周南市のニュース

臭素製造に使った竹が化学遺産に 10年以上安定供給に貢献 旧海軍の要請で技術開発

  • 臭素製造に使われた竹

  • 臭素の説明

  • 設備修理時のアルバム

 周南市の東ソー南陽事業所で50年ほど前まで稼働していた臭素の製造設備の図面などが、日本の化学技術の歴史的価値を認められ、国内最大の化学学会、日本化学会から2020年度に化学遺産に認定された。

 化学遺産の認定は2008年から始まり、これまでに57点が選ばれた。今回認定されたのは海水から臭素を作る設備で使われていた竹、臭素を入れる磁器の容器、容器の図面、設備修理のアルバムの4点で、同事業所本館に展示していて、国内最大の臭素メーカーである同社の歴史を知ることができる。

 同社は戦前、海軍からの要請を受けて1942年に日本で初めて海水から臭素を取り出すことに成功。航空機の馬力を上げるため燃料に入れるアンチノック剤への添加剤として臭素が必要とされたためだった。

 臭素は海水1トン中に60グラムしか含まれておらず、効率的な取り出しが技術上の課題。同社は塩素や酸を加えた海水をポンプでくみ上げ、高さ20メートルの設備塔の中に積み上げられた格子状の竹に落として臭素を遊離した。竹は耐久性に優れ、酸に強く軽いことから同社独自のアイデアで採用された。

 濃縮、回収の工程でも利用され、1つの設備塔には、直径6センチ長さ2メートルの竹が10万本使われた。近隣のみならず大分県からも竹を取り寄せた。今回認定されたのは1961年から73年まで稼働した設備の竹で、臭素の安定供給に貢献した。現在は竹の代わりに高性能の樹脂を使っている。

 臭素はほとんどの金属を溶かすため、運搬には白い磁器の頑丈な専用容器を使用。容器の図面には1969年と記されている。現在は軽量なレアメタルのニオブ製の容器を使っている。

 アルバムは1957年から59年までの設備の修理の写真、手書きのスケッチが収められていて、当時の技術者の貴重な記録となっている。

 18日に同事業所で説明会が開かれ、化成品製造部の久保山洋臭素課長は「当社の技術を裏付ける資料が認定を受けとても光栄。臭素事業にたずさわってきた諸先輩に敬意を示したい」と話した。

 臭素は火が燃え広がるのを防ぐ難燃剤、医薬品、農薬などに使われている。同社は年間2万4千トンを生産し、国内生産量の9割以上を占めている。

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