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経済 : 周南市のニュース
【周南】[東ソー㈱]バイオと半導体に投資 2030年に特殊品で1千億円
経済周南市山口県周南市の総合化学メーカー、東ソー㈱の桒田守社長は21日、定時株主総会後に開成町の南陽事業所で記者会見を開いた。取締役常務執行役員の𠮷水昭広南陽事業所長も同席。2023年度の実績と24年度の見通し、汎用品の安定供給と特殊品への成長投資、二酸化炭素(CO2)排出削減などについて説明があった。
2023年度の業績は、石炭を中心とした原燃料価格の下落などで営業利益が前年度比で52億円改善。24年度は需要回復などで営業利益1千億円を見込むが、クロル・アルカリ事業のアジア市況低迷、機能商品事業における顧客の在庫調整長期化などで、中期経営計画目標の1,500億円には未達とした。
社会基盤を支える汎用品の「コモディティ」でキャッシュを稼ぎ、社会課題を解決する特殊品の「スペシャリティ」へ成長投資を進め、2030年度にスペシャリティでの営業利益1千億円を目指す。
南陽事業所に関連するスペシャリティ事業では、バイオ医薬品の研究開発と製造に不可欠な分離精製剤の製造設備増強に約300億円を投じ生産能力を倍増させる。半導体製造プロセスで使われる石英ガラスについては160億円を投資し、段階的な能力増強を図る。
CO2の排出削減では、2030年度で18年度比30%の削減を目指す。南陽事業所ではバイオマス専焼ボイラの導入、ウレタン原料合成の一酸化炭素プラントでのCO2原料化を予定。
子会社の東ソー・エスジーエムで昨年発生した爆発死亡事故に言及し、桒田社長は「従業員の安全、健康の確保と安全運転が経営の最重要課題。安全基盤の強化と安全文化の醸成を基本とした多様な安全活動を継続していく」と述べた。