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保護司活動20年 河野正典さん 「信じて待つことが大事」
地域周南市「“先生、車を買いました”―良好解除で保護観察期間を終了した少年が、購入した車を見せに来てくれました。社会復帰して車を購入できるまで生活が軌道に乗ったと安心しました」。
保護観察期間中の対象者とのやりとりは、信頼関係を築くことから始まる。まず保護司が対象者を信じることが最大の基本。「信じて、待つことが大事」と河野正典さん(74)は話す。
河野さんは、山口県周南保護区保護司会、更生保護サポート周南の常務理事で、市職員在職中に先輩から勧められて保護司活動に取り組んで20年目になる。
保護司は刑務所からの仮釈放者や保護観察付執行猶予者、保護観察処分少年、少年院仮退院者の保護観察をするボランティア。山口保護観察所の保護観察官から各地区の保護司に対象者が指定される。周南保護区は周南市の徳山、新南陽、熊毛、鹿野の4地区を管轄。対象者は保護観察官や保護司と月2回の面談を繰り返して社会復帰を目指す。
保護司は守秘義務を徹底しながら月2、3回、対象者を自宅に招いたり、対象者の自宅を訪問し、サポートセンターの面接室などで面談をして生活の様子を把握する。
対象者と家族に助言と指導、地域の活動や就労先などの情報提供をする。対象者が「遵守事項」を守っているか確認し、保護観察官に報告をする。
周南保護区の保護司は定数73人に対して66人。27歳から76歳までで平均年齢61歳。県議、市議、元教職員、元公務員、現職公務員、元警察官、住職、一般市民と多彩だ。対象者は約25人で環境調査のみが約30件。
河野さんは「各地区で余裕をもって保護司の活動ができるよう定員を確保したい。保護司の活動を知ってほしい」と話す。
対象者の社会復帰に雇用する協力企業の存在は大きく、周南市では55の企業が協力雇用主になっている。対象者だった本人が社会復帰して、協力企業になった事例もある。
河野さんは「一般市民が手を差しのべることができる社会にしたい」と話す。
さらに「保護司をして大変だとか、つらいとかいう思いは持ったことはありません。私が対象者を信じて待つことで、対象者と信頼関係を築くことも社会復帰のひとつだと思います」と河野さんはまっすぐな目で話す。