2025年05月17日(土)

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政治 : 周南市のニュース

【山口県議選周南市区】新人福田氏、大内氏当選 5議席目は26票差で軍配

  • 万歳を三唱する福田氏(中央)

 任期満了に伴う山口県議選は9日に投開票され、周南3市で唯一選挙戦になった周南市区(定数5)では、猛追した新人2人をかわし切れず、現職2人が涙をのむ結果となった。無所属新人の福田吏江子氏は自由民主党公認の3候補を上回る得票で大健闘した一方、最下位当選した国民民主党新人の大内一也氏は、かつて共に同じ党で活動した立憲民主党現職の戸倉多香子氏を26票差で振り切る薄氷の勝利だった。

 このたびの県議選は2週間後の市長選がこれまでのような保守分裂の激選ではない中、県議選単独でどこまで盛り上がるかが焦点だった。しかし市民の関心は高かったとは言えず、投票率は前回の43.51%を2.67ポイント下回る40.84%だった。まさに「低調なる激戦」という言葉がぴったりの選挙戦だった。

 その中で公明党現職の上岡康彦氏、自由民主党現職の友広巌氏と坂本心次氏は手堅く当選を果たした。しかし戸倉氏は労組票が離れた影響で、前回の9,052票から3,142票も減らすことにつながり、自由民主党現職の新造健次郎氏も地元の新南陽地域で大内氏など他陣営からの激しい攻勢をかわせず、前回の6,465票から1,385票も減らして議席を守り切れなかった。

 結果、周南市区の勢力分野は自由民主党2▽公明党1▽国民民主党1▽無所属1となった。無所属の福田氏は自民党員のため党の追加公認を希望していることから、党側の対応が注目される。

 県選管によると、当日有権者数は11万5,354人▽投票者数は4万7,115人▽有効投票総数4万6,612票▽無効票数503票だった。

福田陣営 喜びの涙ひかる

 無所属で出馬した新人の福田吏江子氏(40)。当選が決まると支援者が集まる糀町の選挙事務所では大歓声がわき起こり、万歳三唱を繰り返して喜びを爆発させた。

 後援会を代表して後援会長の赤松現城さんが支持者に対し「ご支援してくれた皆様に後援会を代表し御礼を申し上げます。今後ともご支援ご声援をよろしくお願いします」と話した。

 福田氏は「選挙戦を始めるにあたって一人ではできないことばかりで、不安がいっぱいの中、沿道の声援が何よりの力となりました。今後は地域を越えてしっかりと皆様のお声を聞いてお役に立てるよう務めていきたい。これまで掲げてきた教育行政、子ども政策、子育て支援、なにより女性の健康についても声をあげていきたい」と涙ながらにあいさつし、何度も感謝の気持ちを伝えた。

大内陣営 「5度目の正直」に喜び爆発

 「やった!5度目の正直だ!」―26票差で滑り込んだ国民民主党新人、大内一也氏(49)の清水の事務所は、支持者約50人の拍手と歓声に包まれた。

 大内氏はこれまで衆院選や参院選に計4回出馬したが落選した。この県議選は「今度こそ!」の決意で臨んだ。

 午後11時半すぎに26票差で当選が決まると事務所内はわき返り、大内氏に抱きついて喜ぶ支持者もいた。

 長嶺平治後援会長の感謝のあいさつに続いて万歳を三唱した大内氏は「県政の場に県民の声を確実に届けていく。後援会組織もしっかりしたい」と抱負を述べた。

 僅差で振り切った戸倉多香子氏には「自公の現職を破ったのならともかく、戸倉氏の落選には申し訳ない」と複雑な心境を見せていた。

支援者と抱き合って当選を喜ぶ大内氏

上岡陣営 「地域経済の活性化を」

 公明党の上岡康彦氏は、支持母体である創価学会票を手堅く固めて6期目の当選を果たし、上遠石の事務所で、妻の敦子さん、同市議の小池一正さん、金子優子さん、江﨑加代子さん、下松市議の堀本浩司さん、柳瀬秀明さん、光市議の仲小路悦男さんや支持者ら15人と万歳で祝った。

 午後10時37分にテレビで当選確実の速報が出ると歓声がわき起こり、上岡氏が頭を下げて支持者に感謝した。

 勝因について「これまでの実績、真面目に仕事をしてきたことを評価いただいたのだと受け止めている」と分析。これからの4年間には「地域経済、特に3年間コロナで傷んだ経済の活性化、高齢者などの買い物弱者への対策、いじめなどの教育問題に取り組んでいきたい」と意気込んだ。

喜びを爆発させる上岡氏ら

友広陣営 盤石な体制で4期目当選

 県議として4期目の当選を目指した友広巌氏の東山町の選挙事務所では兼安紀和後援会長や藤井律子周南市長、高村正大衆議院議員の妻の優香さん、福田健吾周南市議会副議長や市議10人のほか、多くの支援者らが開票を見守り、午後10時37分には当選が確実になると喜びに沸いた。

 自民党県連政調会長を務め、コロナ禍での中小企業支援や燃料高騰の緊急支援等に奔走した。

 友広氏は「地域経済の活性化が一番。若い年齢層の雇用を創出し、家庭を持って子育てのできる住みやすい周南地域を目指したい。山口県の経済を支えるコンビナート都市としての役割もしっかり果たすことを目標にしたい」と意欲を見せた。兼安会長は「感無量です」と笑顔で喜びを語った。

万歳で4選を祝う友広氏ら

坂本陣営 「聞く、見る、動く」をしっかりと

 4年間県議会土木建築委員会でインフラ整備に取り組んできた坂本心次氏。

 2号線沿いのスシロー周南辻店前の事務所では、下松市の森繁哲也県議や西田宏三後援会長、同級生など、若い世代から高齢者まで幅広い支持者が見守る中、当選確実の結果が出ると、大きな拍手と喜びの声に包まれた。

 選対本部長の澤野成美さんは「本人の実力もさることながら後援会や世話人、皆さんのおかげで当選することができた。周南市を代表する坂本さんの働きぶりに期待している」と更なる活躍を求めた。

 坂本氏は「皆さんに支えられて最後まで戦うことができ、皆さんのおかげで当選できたことを本当にうれしく思う。課題があることに対してしっかり聞いて、見て、動き、スピーディーに解決するよう働いていく」と感謝と決意を語った。

再選に万歳する坂本氏ら

戸倉陣営 「負けるわけがないと思ったが…」

 26票差での落選。午後11時40分、支持者20人ほどが待つ梅園町の事務所に戸倉氏が到着。炭村信義後援会長が「12年間守った県議の席を失うことになり申しわけない」と述べた。戸倉氏は「皆さんの思いに応えることができなくて申し訳ない。私の努力不足。絶対に負けるわけがないと思っていたが、現実は厳しかった」と敗戦の弁を述べた。

 事務所には衆院山口2区の補欠選挙に出馬する平岡秀夫氏も駆けつけていて、戸倉氏は「2区と4区の補欠選挙に頑張らせて下さい」と前を向いた。祝勝の花束を激励のために手渡した支援者が涙ぐむ場面もあった。

 立憲民主党の公認候補で連合山口が推薦したが、選挙戦を前に労働組合の多くが離反。「すごくショックで心が折れそうになったが、それでも残った票があると信じていた。選挙戦でも反応がよかったが、もう一歩が足りなかった」と悔しそうだった。

花束を受け取る戸倉氏

新造陣営 新南陽の議席守れず

 3期目を目指して奔走した新造健次郎氏の政所の事務所では、土屋晴巳市議会議長や新南陽に拠点を構える経済界の支持者らが開票を見守ったが、結果に肩を落とした。

 新造氏は「新南陽、北部、西部のことを考えてここまで活動してきた。新南陽の議員が一人になってしまうことも申し訳ない。この4年間、環境福祉委員長としても真面目に取り組んできたが結果が伴わなかった」と敗戦の弁を述べ、駆け付けた支援者一人ひとりに感謝を伝えた。

解説 常に「民意」の自覚を

 現職は軒並み票を減らした中で、ともに40代の新人の無所属の福田吏江子氏と国民民主党の大内一也氏の健闘が際立った選挙戦だった。やはり有権者は、常に政治に新風を求めているのだろう。

 現職の減票は気の毒としか言いようがないものだ。トップ当選した公明党の上岡康彦氏は前回の9,534票から8,388票に▽自由民主党の友広巌氏は9,097票から7,384票に▽同、坂本心次氏は7,042票から6,410票に減らした。落選した立憲民主党の戸倉多香子氏は9,052票から5,910票に▽自由民主党の新造健次郎氏も6,465票から5,080票に減らしている。

 これら現職議員に決して実績がないわけではない。どの現職も代表質問や一般質問に積極的に登壇し、本紙はそれを詳報してきた。議会活動の報告も広報紙などで丁寧にしていた。それでもこんなに票が減るとはどういうことなのだろう。

 県政は県民のものだし、選挙では候補者だけでなく有権者も試される。新人2人が低調な激戦をかいくぐって当選し、実績ある現職が苦杯をなめたのも、何らかの民意の表れなのかもしれない。投票率が40%をギリキリで切らなかったのも何かを物語っている。

 周南市区で当選した5人だけでなく、無投票当選した下松市、光市の現職計4人も、常に民意を背負っていることを自覚して県政に臨むべきだ。その答えは4年後に出る。(山上達也)

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