コラム「一言進言」
反対を恐れるな、もめ事気にするな
〜頑張れ公務員!〜
■ 最近、毎日の話題を見ると、暗い話ばかりで気が重くなる。私ほどの高齢者になると、子どもや孫の将来は一体どうなっていくのかと、気持ちが落ち着かない。ウクライナもガザも一向に収まる気配がない。あげくにトランプ米大統領が世界中を相手に高額な関税をかけると息巻いている。国内と言えば兵庫県知事への攻撃報道、中居氏の性加害に対するテレビ局のだらしなさ。石破首相の10万円配り。米の価格の高騰ぶり。留まるところを知らない。
■ ここは是非、地方自治体が踏ん張って、市民に元気が出る情報を小さくても発信すべきだ。人口減少、若者が流出する中、どんな施策で夢を少しでも持てるか、各自治体の連携も含めて画期的な施策を生み出すべきだ。昔「県庁の星」というドラマがあった。県庁マンの中に突出した若者が登場、新しい施策を考え実行していく物語だ。
■ 地方自治体で働く公務員の輝く時は、係長職か課長職に就いたころが圧倒的に多い。公務員との付き合いは延べ60年以上になるが、まずは市長が今までにない大方針を発案できるかが勝負で、部下たちにはそれを形にするパワーが要求される。また、部下たちは自分が担った部署で一つでも今までやったことがない課題を見つけ、実行に移す気力を必要とする。
■ 今から70年以上前、黒澤明監督の「生きる」は、地方公務員として「生きる」意味を考えさせる名作だった。事なかれの世界で平穏な公務員生活を送っていた市民課長ががんに罹患、そこで市民の切実な要望を目にして変わっていく世界を現した。公務員になりたてはみんな「何が市民のためになるか」視点で張り切る。役職が上がって行くにつれ、権限が増すにつれ、摩擦を恐れ、無難、平穏な状態を望んでいく。
■ 経験も知識も豊富になった役職者を使いこなすのが、良い市長の役割だ。過去それを一番顕著に形にしてきたのが故高村坂彦旧徳山市長だった。わずか15年であの周南団地を造り、周南バイパスを通し、新幹線を街中に走らせ、あの壮大な緑地公園を街中に作った。その礎になったのが故黒神直久旧徳山市長だった。徳山競艇場、動物園などを作ったが、市長の前に中心市街地の都市計画を先頭でけん引した。
■ 「日刊新周南」を立ち上げる時、両元市長は健在で、お二人から実に多彩な苦労話を聞かされた。共通していたのは「これが徳山のためだ」の信念があったから、また「形にする多くの部下がいたからだ」の二つだ。こんな不透明な世の中になった今こそ強烈なリーダーシップと、それを形にする公務員が必要とされている。反対を恐れるな、もめ事を気にするな。
(中島 進)
