コラム「一言進言」
真に豊かな国づくりを目指す政党望む
~劣化していく日本人の心~
■ 過去の選挙とは異質とも言われた参院選だった。自民、公民、立憲、共産など既成政党が軒並み伸び悩み、国民、参政など新興勢力が大幅に躍進した。ここ山口県では自民党が圧倒的に優位で、現職の北村経夫候補の当選は早々と決まった。しかし、北村氏の得票率は大幅に減少、自民党に対する風は確かに変化した。
■ 民主主義は時と場合で至極残酷になる。あのドイツは世界でも冠たるワイマール憲法を持った国だった。しかし、ドイツ国民は選挙でヒトラーを選んだ。この原因には諸説あるが、一番は世界恐慌による貧しさだった。「強い国ドイツを創る」と訴えるヒトラーに国民は熱狂した。ユダヤ人に対するあの差別感も、貧しさゆえに別人種のユダヤ人がお金を持つことへの反感がベースになった。
■ 日本も70年代が大きな曲がり角だった感覚を持っている。それまで巷では部落差別や在日朝鮮人に対する差別は相当残っていた。被差別部落出身と言うだけで結婚も、就職もままならなかった。“在日”と言うだけで学校でもいじめられていた。何度か触れたが、私の小学校時代、少し障害があった私をいつも優しく遊んでくれていた1歳上の子は、近くの朝鮮人部落の子だった。当時、私に意地悪していた学校の悪ガキは、いつもその先輩を「この朝鮮人が!」といじめていた。ある日騒動があってどうしたのかと思ったら、先輩は堪忍ならずその悪ガキをハサミで刺し、殺してしまった。
■ 70年代、学生時代でも差別はしっかり残っていた。被ばく2世への差別を知ったときはショックだった。就職も、もちろん結婚もひどい差別の渦中にもまれていた。戦争を経験した人たちとは思えない日本の中の差別感の大きさに愕然とした。しかし、高度成長期に入った70年代後半からは公然と差別反対が言えるようになった。同和教育も始まった。貧しさはいかに一般庶民の心を荒廃するか経験で学んだはずだ。
■ 今選挙で一番感じたのが「なぜここまで日本は貧しくなったのか」。税金や年金を上げ続け、地方でお金を稼ぐ術を捨てさせて、大企業は大きく貯蓄を伸ばした。高齢者の割合は増え、子どもを持ちにくい国にしてきた我が国の将来はどうなるのか。トランプ関税で騒いでも株価は高いままだ。どこにメスを入れ、どこに注力すべきか、将来像を語り合う政党の争いにもならない。庶民はどうしたら良いのだろうか。
(中島 進)
