コラム・エッセイ
No.10 日立ハイテクの245億円投資に夢をみる。 そして久原房之助翁への感謝が足らないことに気づく
独善・独言10月23日、日立ハイテクの工場増設が正式発表された。
245億円の投資と200人の増員により2倍の生産高をめざす。一度に245億円の投資とは、ここ10年で県内2番目の額という。下松市民が“ちょうちん行列”を行って祝ってもよいビッグニュースであるが、市民の反応がイマイチである。そこで私はこの増設により生じる効果とそして夢を検証する“ちょうちん寄稿”を考えた。
同社の事業は「エッチング装置」という半導体の製造機械を作製するものらしい。半導体事業そのものは、現在政府が国を挙げて力を入れているものの、大前研一を始め多くの識者が、成功して台湾ほかに追いつくことを不安視している。しかし、この製造装置製作部門はそうでもないらしい。 元日立製作所、現微細加工研究所の湯之上隆所長は著書『半導体有事』のなかで、『半導体そのもの技術は世界に立ち遅れており、今後も日本独自での成功は期待が薄いが、製造装置の製作は世界のトップレベルの技術を持つ』としている。この増設は期待がもてるのである。
その期待は夢と広がる。
㊀200人の増員は現在の下松市の人口と世帯の比率を推しあてると430人の人口増に結びつく。この人口増による税収効果、経済効果をごくごく粗く恣意的でかつ控えめにA表に推計した。
無から有・・・これだけの効果が期待できるのである。下松市の22年度決算の市民税は史上最高値になったが、今回の進出により数年間はこの水準を保っていけよう。この認識が市民にあるか。
なお、住み家は下松市に限らない。潤うのは周南地区一帯になる。
㊁この事業のすそ野は広い。既に何社かの関連下請け会社が増設と増員で備えている。さらに技術革新や企業進化により、下松市内での存在感が高まっていこう。
㊂新工場は旧日石跡地に建設される。市の永年の課題がひとつ解決される。これまでも多くの企業の進出が計画された。市長はその度ごとに上京してセールスを重ねたと聞く。今回関連のない2社を連携合意させて、巨額の投資までに結実させた市長の永年にわたる普通でない努力に対し、市民として感謝と賞賛の祝意を申し上げたい。
さて私には別のこだわりがある。久原房之助は我が街に2つの遺産を残した。ひとつは日立、鋼鈑、日石という基幹産業進出用地を、2つは人材輩出のための下松工業高校の開設。そして、日石撤退後の跡地に、30年前にザ・モール周南を、今回はこの大型投資を呼び込んだのである。なんとした功績。その大恩人久原翁に対する正当な認識と感謝が欠けてはいないか。
・・・どうでしょうか。
講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com
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※試算の根拠
1.従業員200人増のうち他部門からのシフトや住民表を移さないケースもあろうが、関連下請け企業の増員がそれをカバーするとした
2.全員が下松市に住むと仮置きして(実際は周辺市町に分散するが)下松市の決算数値を適用した単価は現在の実績を人口で割った
3.②の個人の固定資産税は持ち家であろうと借り家であろうと誰かが払っているとした
4.④の法人固定資産税は償却資産を含め投資額全体の50%は課税評価額になると仮定した
5.⑤の住宅建設効果も持ち家でも借り家でも200人世帯の住宅は必要になるとした
6.⑥は総務省調査一人当り消費支出を参照した
7.⑦ハイテク社員の行き来や社員の家族、知人の訪問機会は相当数見込まれるが算定不能
8.ほかにもたばこや軽自動車税收があるが省く
