2026年06月12日(金)

コラム・エッセイ

No.82 企業寿命30年説は正しいか…100年の長寿を願う

独善・独言

 本紙に創刊40周年特別企画として企業等の代表者が地域への思いを語る「地域共創」というコーナーがあった。私は各社のコメントとロゴマークに興味をもって楽しく目を通してきた。私は気づいた…登壇企業の大半は創業30年を超えている。“企業寿命30年説”と相いれない。不信に思ってアプローチしてみた。

 ㊀A表㋑は元本紙編集局長橋詰隆康氏発刊の「周南の社長さん」…取り上げられた会社の今日の存続率は私の知る限りでは80%となる。一方、東京商工リサーチ社の示す企業の平均寿命は23.3歳という。ならば出版からちょうど23年経過した現時点での存続率が50%程度でないとおかしい。別の数値…企業の50年経過後の存続率は0.1%というデーターがあるが、一方、私が50年前入社した銀行の小倉支店の取引先を精一杯思い出した存続率は㋺の35%である。以上2例…この齟齬はどこから生じるのか。
  
 ㊁多くの企業の創業時は…脱サラして、夫婦二人で、親戚に借金して、“鍋には明日のメシさえない”…松下幸之助翁の町工場の世界であろう。

 繁華街に店舗を構えた小倉支店では飲食業者を主体に創業3年、5年での倒産例、廃業例=消滅例を数多くみてきた。しかし、その事業所の一部は生き残る。そして金融機関から融資を受けたり、小切手取引を始めたり、ロータリーやライオンズに加入したりする。ここまでになればたとえ小規模であっても、そんなに簡単には消滅しない。寅さんシリーズのタコ社長もあの28年間、しぶとく生き延びている。前記の数値の誤差はこのような点から生じていないか。

 ㊂先日、80歳になって会社を後継に譲った創業オーナーの送別会を開いた。現在までの40年間の浮き沈みを見知っている私は心からの卒業祝いを述べたが、相手からは「最後になって自宅の抵当が解除できてホットした」と、貸し手からは発想できないことばが返ってきた。企業が存続した価値の証と重く受け止めた。

 ㊃多くの企業主との「倒産の別れ」に立ち会った。何とか不渡りを出すまいと瀬戸際対応で無理を重ねてきたあげくでの破産宣告の修羅場は、死の宣告と同じ重みをもつ。債権者集会で土下座して謝罪する姿を、救われない気持ちでみてきた。切ない。

 ㊄全国ベースの倒産企業数の推移㋩をみると1993年頃からのバブル崩壊と2008年のリーマンショックの影響が色濃い。㋥の山口県信用保証協会の代弁件数も同様な推移となっているが、保証対象が小企業主体ということで、全国ベースと比較すれば消滅比率が高いことがわかる。

 ㊅まさに徒手空拳から従業員4,500人の大企業を育て上げた愛グル-プ社の神田忠オーナーは、社員教育冊子のなかで、経営継続の要諦を「社内イノべーション」であるとし、①意欲の集団であること、②ビジョンを明確化し共有できること、③徹底を徹底できること、④成功を持続できること、⑤以上の反省と理想追求の循環をさせること…を行動規範として示している。ナルホド…“説得力は実績にあり”である。

 また、同冊子のなかで自らが入社した後、①の欠落に呆れて1年で見切りをつけて退職した合板のダンタニを“他山の石”として紹介している。その段谷産業は私があげた㋺の62社中の消滅企業の1社である。

 私は一昨年「株式会社九内」様の90周年式典で記念講演を行った際、最後は『100周年も呼んでいただきたい』と締めくくった。「地域共創」に登壇の各企業の100年に向かっての長寿を願ってやまない。

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