コラム・エッセイ
孤独・孤立
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子AI恋人というアプリがあるらしい。容姿も性格も自分の好みに合わせられて、会話を重ねるうちにAIの学習が進んで自分にピッタリの応答や気遣いの言葉が語りかけられるようになるそうだ。これが進むとアプリで作られた像が自分にとって理想の恋人状態になり、お互い欠点もある現実の人間相手の恋愛に関心が薄くなるのではないかと、少子化加速への影響を心配するコメントが早くも寄せられている。
新型コロナウィルス禍下の、人との接触が少なくなり自分一人の時間が多くなっている環境下では、こんなアプリが人気を集める予感もしてくる。
この1年半のほとんどの期間、全国どこかは緊急事態宣言かまん延防止等重点措置の発令状態で、行動自粛が求められる中、自分一人で過ごす時間が多くなっている。
そこで問題になってくるのが、孤独・孤立。自分一人の時間が増えてもすることもなく持て余し、暇つぶしにスマホやパソコンに向かうのは、好ましくはなくても他人が心配するほどのことではない。
我がつれ合いも、あれほど毎日のように通っていたカラオケ通いがピタリと止み、今ではナンプレ(数独)に、よくもまあ飽きもせずというほどに熱中しているが、ほかの行動に変化はないから心配はしていない。
しかし、スマホアプリやゲームへの没頭が孤独・孤立から逃れたい気持ちからのものだったら、コロナ自粛の一人時間が孤独感・孤立感を生じ、深めるものになっているのだとしたら、新型コロナウィルス感染症対策である行動自粛が、感染症以上の対策を要する新たな問題を作っていることになる。
孤独・孤立の問題は今に始まったことではないが、このコロナ自粛の期間に一層強く問題視されていて、対策のための国や自治体の新たな事業も始められている。
孤独・孤立の問題への対策として、従来のものも含めて共通していることは「つなぐ」ということだ。孤独・孤立している人を周囲の社会に「つなぐ」ことで一人でない状態に導くことは有効な対策だ。しかし、それは問題対策の始めであって、終りではない。
なぜなら、孤独・孤立はそれ自体が問題なのではないからだ。長年一人暮らし、世間と没交渉な生活をしていても何の問題もなく過ごしている人もいる。楽しむという人さえいる。孤独・孤立はそれに不安が伴うときに問題になる。孤独状態の中で自分がどうなるのか、どうすればよいのかと不安を感じることが様々な問題につながってくるので、その不安がなくならない限り、問題は解決しない。
孤独・孤立の解消でなく孤独・孤立のもたらす不安をなくするための支援が何よりも必要なのだと思う。
(カナダ友好協会代表)
