コラム・エッセイ
復活の一品
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子周南市の御幸通が黄色く埋め尽くされて、今年も師走を迎えた。恒例のツリー祭りも始まり、やがていつものように大みそかを迎える。今年は殊の外早く過ぎたように感じる。
望んだことではないが「後期高齢者」とラベルを張られ、残り少ない時間を否応なく自覚させられたためか、それとも、この夏から新しく加わった受託事業への取り組みで、現実に多忙なせいなのか。恐らく両方なのだろう。いつもなら購入ずみの年賀状もまだ手元にはなく、師走の準備は何一つ動いていないが、今年も確かに1年が過ぎたのだ。
平成最後の大みそか、平成最後のお正月で、いつもの年にも増してにぎわいがあおられることだろう。時の経過ということでは、きょうからあすへ移るのと変わりないはずなのだが、大みそかという動かぬ点に1年という時間が圧縮されていくように感じる中で、突然、頭の中に浮かんできた一品があった。
「アフターエイト」。なぜ今、浮かんできたのかわからない。中にミントクリームが入った四角い薄いチョコレートサンドで、特に年末と結びつくものではないのだが、もみの木の色合いを思わせる濃い緑の箱がクリスマスツリーを連想させたのかもしれない。
ほどよい甘さとミントの香りの組み合わせと舌触りが何とも絶妙で、私の好物だが、我がつれ合いにはその上を行く、大好物のスイーツ。
イギリス生まれのこの逸品。かつて、カナダ友好協会の文化交流・親善行事「フレンドシップ大使」の一行を引率して毎年、バンクーバー市を訪問していたころ、たまたま現地で見つけた1箱をお土産に持ち帰り、その味の虜になったつれ合い殿の熱望に応えて、毎回何箱かを携えて帰っていたのだが、いつのころからか現地でも店頭から姿を消し、日本でも手に入らなくなっていた。
ネット情報豊富な当節、本当は手を尽くして探せば見つかったのだろうが、これまでのルートからは消えていたので、すっかりあきらめてしまっていた。そこへ突然の記憶の浮上。早速、インターネットで検索すると、あった、あった。探し当てた輸入食品コーナーを訪れ、店頭にあった全品を買い占めた。といっても4箱だが。
久しぶりに味わったミントの香りとチョコレートの舌触りを、以前と同じにうれしく楽しんだ。それ以上に喜んだのがつれ合い殿だったのは言うまでもない。
年の瀬間近の、懐かしく素敵な味の再到来だった。
(カナダ友好協会代表)
