2025年10月02日(木)

コラム・エッセイ

雨のち快晴

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 3年前は青天のへきれきだった。主役はわがつれ合い。

 ある日突然文字通り青天のへきれきの如き脳梗塞で救急搬送されて一命を取り止め、傘寿まで祝えた。その後は体験談を聞かされる周囲からは「へきれき(雷鳴)だけでよかったね。打ち倒されなくて」と幸運を讃えられて喜んでいる。本当に幸運としか言いようのない運びに、前世に徳を積んでいたとは思えないから、ご先祖様のご加護のたまものとして共に感謝を心がけているが、今度は我が身に異変が訪れた。

 「胸が痛い」突然感じた痛み。普段から脈は速いし、体力には自信が無いのに、このところ関係事業の課題満載で、ひっきりなしの電話対応に心身疲労困憊の状態だったから、この痛みは、か弱い我が心臓が悲鳴を上げたのかと恐怖に襲われ、かかりつけのクリニックに駆け込んだ。

 痛みは収まっていて、心電図にも異常は無く一安心だったが、心臓専門ではないS院長の紹介で大学病院での診察を受けることになり、血液検査のための採血をして次の日、大学病院で診察を受けた。

 さすがに設備の整った病院で、血液検査も含めて丁寧な診察を受け、心エコー検査、24時間心電計装着検査もして、特段異常なしの結果。まあ、良かった。今すぐ心配することでもなかったのだなと、一安心したところに、S先生から急ぎの電話。

 血液検査の結果が今日出てきて、この項目に大変な数値が出ている。すぐ、精密検査してもらいなさいと厳しい声。血液検査なら大学病院では異常なしなのですが。でも、それを聞いた大学病院の医師は、ここでは出ていなくても危険のあった可能性はあると、心臓にカテーテル挿入して血流検査しようとなった。

 「でも、私、麻酔恐怖で、気絶するかもしれません。」「なら、万が一の緊急対応に備えて、入院検査としましょう。」かくして、急遽入院検査となった。

 造影剤を注入しながらカテーテルを挿入して血流や血管の詰まりを調べる。詰まりがあれば即閉塞除去手術に切り替え。施術は30代に見える若いドクター。失礼にも「大丈夫?」と思ったが、わざわざ付き添いに駆けつけてくれた医学研修留学生のGさんの「若いドクターの方が体力もあり、最新の技術・知識も持っているから安心出来ますよ」という言葉に励まされ、安心してお任せした。

 検査後、モニターに映し出された我が心臓と、挿入されたカテーテルの動きを誰か別人のもののように感じる不思議な思いで、家族と一緒に眺めた。「全く異常ありません。きれいな立派な心臓です」と言う施術医の言葉は正に「雨のち快晴」宣言。危険ゼロになったわけではないが、とりあえずはセーフ。

 3年前つれ合い殿は脳血管カテーテル挿入。今度は私が心臓血管カテーテル。傘寿夫婦に加えてカテーテル夫婦を新たな称号として、元気に仲良く暮らしてゆきましょう。

(カナダ友好協会代表)

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