2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

肝に刺さる

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 残暑お見舞いの季節のはずだが、相変わらずの猛暑、酷暑で、四季の国日本はもはや三季、いずれ二季になりかねない状況。だが、九月も下旬。その気になれなくても今は秋。大気燃える夏から強引に気持ちを切り替えて、もの思う秋に移りたい。

 さて、何をもの思おうかと気を巡らせると、近頃気になっているのが、日常身近に聞く言葉の変化。「歌は世につれ、世は歌につれ」と言われる。もっと直接的には「言葉は世につれ、世は言葉につれ」だ。時代を映し、象徴する言葉は確かにある。その言葉を聞くと、語る者と聞く者とにその時代の同じイメージが浮かばせる。そしていつかはそのイメージを表す共通語として定着し、新しい日本語になってゆく。

 そんな言葉として、自分の知っている戦後社会の中で一番衝撃的に記憶に残っているのは「イカす」だ。石原裕次郎の登場と共に広がったものだが、「格好いい」満足できる素敵な状態を一言で伝える言葉として、若者ばかりでなく、日常語としても広まった。私は使うことはなかったが、聞いてその意味は素直に理解出来た。自分にとって、身近ではなかったが、違和感はなかった。その後も同様に様々な新語が現れ広がっていったが、どうしたことか違和感がつきまとって、自分の中では居場所が持てないでいる。

 その一つが「ヤバい」という表現。本来の意味とほとんど真逆の意味で使われていることが多いから、とても受入れられない。同じ言葉で、伝えようとするものと伝わるものが違うと、聞く者には違和感が残る。そんな例は他にも例えば「全然…ある」などあって、日常会話でかなり広く使われているようだから、私の違和感はもはや「無駄な抵抗」なのかもしれない。

 他にも違和感の対象はあって、一大勢力となっている「推し」という表現。推の字は分かる。でもこれは本来「推す」という動詞だろう。それを名詞に使って「推し」というから違和感が湧く。でもこの場合は「ヤバい」と違って、伝えようとするものと伝わるものに食い違いはないから、単に好き嫌いだけの事かもしれない。

 それから、ごく最近気になっている表現が“肝”と“刺さる”。人気TV番組のコメンテイターがよく使っていて、日常語化が進み始めている。「肝」は「肝心かなめ」の肝。物事の大切な部分、重要事項を示すときに「肝になる部分」と言うところを短く「肝」と言うらしい。そして「刺さる」。「このことがこの人に刺さる」等と使っている。あることが狙い所に届く、伝わることを言うようだ。

 この時感じる違和感は「ヤバい」や「推し」への違和感とは違う。意味も使い方も間違ってはいないが「そんな言い方より、もっといい言葉はないのか。」というもの。こんなことまで違和感を感じていては世代間格差は広がっていくばかりかもしれない。

 でもやっぱり拭いきれない違和感。秋はまだまだ来そうもない。

(カナダ友好協会代表)

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

株式会社トクヤマ

トクヤマは、電子材料・ライフサイエンス・環境事業・化成品・セメントの各分野で、もっと幸せな未来をつくる価値創造型企業です。

山田石油株式会社

ソロや友達と過ごす「おとなじかん」から、親子三世代で過ごす「かぞくじかん」も楽しめる日帰りレジャー施設「くだまつ健康パーク」。屋内で遊べる施設や岩盤浴、サウナも充実!