コラム・エッセイ
ピンチもチャンスに
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子「ピンチをチャンスへ」よく聞く言葉。ピンチ(危機)とチャンス(好機)正反対のものが同じになるなんて、めったにないと思うが、それがあったというわがつれ合いの話がなかなかいいので、ご紹介。
縁あって、ふた月に一度の地域うたごえ会の歌い手を務めていて、あと数日で当日という日、先ずプログラムを取り寄せた。毎回20曲ばかりを相方と二人で分担し合って進めている。
ところが今回とんでもない曲が含まれている。「これ、若者が踊り歌うもの。歌というよりダンスショーですね」「私、出来ない」「私もです」。とても二人の手には負えないが、会場で二人ぽかんと口を開けて立っているわけにはいかない。どうしよう?これが、第1のピンチ。
そしていよいよ2日後が本番という日。飛び込んできたのは相方のHYさんからのメール。転んで骨折し、行けなくなったとの知らせ。仕方がない。全曲一人で務めなければと覚悟を決めたが、歌えそうもないのもあるし、どうしよう。これが、第2のピンチ。
それに伴奏のM先生も今日は他の行事と重なり、来られないらしい。うまく合わせられなかったら困る。これで3つめのピンチ。そこにまたまた新たな知らせ。マイク調整や歌詞映写担当のTさんが急病入院とのこと。どうする。第4のピンチ。
それに会場は遠く、いつもTさんに途中同乗させてもらっている。どうして行けばいいのか。つれ合い殿には大問題。これで第5のピンチ。ピンチ満載。どうする、浮かんだのは「今回は中止」宣言。そう思いながら主催者の地域リーダーHさんにお伺いをたてると「困ったこと」の言葉は出るが「中止」は出ない。
「伴奏はM先生がお友達に代わりを頼んでくれています。機械操作もあなたの送迎も、Tさんが知り合いに頼んでくれました」。これで3つのピンチへの対策が出来た。
第1と第2は?「私も困っていたら、近くの保育園の園長先生が、それなら保育士さんのダンシングチームを作りましょうと言ってくれました。歌唱リーダーは参加者の協力も仰ぎましょう」。これで全ピンチ対策完了。
結果はダンス大好評で、盛会のうちに次回予告して終了し、出来るのかと心配したことが、終ってみれば大成功。まさにピンチをチャンスに変えられたのだ。
中止すればピンチは脱することが出来たかもしれないが、次回開催が危ぶまれる。それを感じ断行のために対策を考え人を動かしたHさんの思いがまさにピンチをチャンスに変えた。
ピンチは逃げれば避けることは出来るかもしれないが、対策を考えやることで思わぬ効果を得ることも出来る。自分もHさんに協力した一人に過ぎないが、ピンチをチャンスの実例を見ることが出来た。「いい体験だった」この話、しばらくはあちこちで繰り返されることだろう。
(カナダ友好協会代表)
