コラム・エッセイ
No.916 『また一人冥途の旅へ』
伊藤博之の釣れ釣れ談議5月28日、今日はコロナワクチン接種の日。いつもは時計の目覚ましが鳴ってから目が覚めるのですが、今朝は30分前の午前3時半には目が覚めました。昨夜寝る前からワクチン接種のことばかり考えていたからかもしれません。
ベッドを出てお茶でもと思い、入れたのですが、コップをひっくり返してしまい、書類をのけたり、タオルを取りに行ったりと後始末が大変でした。台所で洗い物を片付けていると手が触れたのか皿が落ちて割れ、今朝はなに!と考えました。
ふとワクチン接種で10万人に1人くらいアレルギーとやらが出るのかなといういやな予感が頭を過りましたが、5時半に魚市場へ出ました。
市場で働いているうちに朝の出来事は忘れていました。いつも通りに市場から帰ると1時間ほど寝てアクスへ水中ウオーキングと風呂に行き、家で昼食を食べて午後1時ころ事務所へ。ワクチン接種は午後2時半となっているので少し早目に主治医の岐陽内科へ行きました。1回目の方が注射の後の痛みが小さいということなので、利き腕の右腕から打つということです。
前の方は自分より年上だと思われましたが接種後15分様子を見ますと言われたのに自分は30分と言われ、今朝の10万人に1人…が過りました。「なぜ30分?」と尋ねると2カ月くらい前「さくらマス」が市場の競りに出ていて一度食べたいと思い買って刺し身で食べ大変美味でした。
ところがその後全身にホロセ(湿疹)が出て痒い痒いの地獄です。岐陽内科で処置していただき治まりましたが、2時間ほど地獄でした。
忘れていたこの出来事で30分待ちになりましたが、今朝のことが思い出され、心細く長い30分でした。
3時半過ぎ、事務所に帰ると携帯が鳴りました。寿司やすの安達社長からです。「みの幸さんで不幸があったとか!伊藤さん、ご存知ありませんか?」寝耳に水でびっくりしました。「まさかと思うが、おやじさんかね」「情報を確かめて連絡し合いましょう」と電話を切りました。
身体全体から力が抜け、しばらく呆然としました。体調は良くはないが元気だと聞いていましたので間違いであればと祈る気持ちでした。午後5時ころ、安達社長の連絡で、みの幸の山中幸三会長が亡くなったことを知りました。体調が急変し、27日の午後10時過ぎに旅立たれたそうでした。
自分の人生の師であり、兄貴であり、おやじであった人。頭の中が空になり、家に帰ったのもよく覚えていません。そのままベッドに入ったのでしょう。目が覚めたのは午後8時前でした。
ワクチン接種したことも忘れ、おやじさんとの思い出が頭の中をかけ巡る、うつらうつらした眠れない夜でした。葬儀はコロナ禍なので家族葬でされると聞き、最後の拝顔もできないと思っていたら、29日、山中健太郎社長から最後の顔を見て下さいと連絡があり、おやじさんとの最後のお別れができました。28日の朝の予感は辛くて寂しいお別れでした。合掌。
(県磯釣連合会最高顧問)
