2026年10月11日(日)

コラム・エッセイ

『徳山ふぐの旬味期終了』

伊藤博之の釣れ釣れ談議

 周南市の桜は昨年より1週間ほど遅れての開花となっています。市特産の「徳山ふぐ」は産卵のために1日から20日まで休漁です。

 ふぐは秋の彼岸から春の彼岸までがシーズンで、中でも11月から2月までは最もふぐ料理が食べられます。寒さが増すと海水温が下がり始めるので、ふぐは冬を乗り切るため荒食いを始めて体に脂肪をため、丸々と太ってきます。それで海水温の下がる11月ごろからが脂が乗って最高においしいと言われます。

 また、ふぐが一番高いのは需要の多い12月と1月ですね。忘年会、クリスマス、正月、新年会と飲食をする機会が多くなります。中でも暮れから正月にかけた一週間は特に需要が伸びます。

 近年、自宅でおせち料理を作る家は激減、宅配という便利なシステムも発達し、家族でおいしいものを食べるお正月のセレモニー料理として全国の有名料亭のおせち料理も飛ぶように売れているそうです。ふぐ料理も宅配で取り寄せる代表商品の一つとなり、お取り寄せの宅配セットが大フィーバーしています。

 「正月くらいはぜいたくを」。この発想から高級品の「トラフグ」の需要が特に多くなり、供給が追い付かず急騰します。昨年末には周南市の魚市場でも水揚された「徳山ふぐ」が1キロ2万円近くまで上がりました。下関の相場と変わらない値です。日本人の正月ぐらいはという考えが年の瀬や正月の食の文化を変えようとしていると思います。

 話が少しずれましたが、高価だからまた美味なのかもしれません。確かにマグロの大トロとトラフグの刺し身を一口ずつ食べ比べたら、10人中10人がマグロのトロの方がおいしいと言われると思います。でもマグロは何切れも食べられませんが、トラフグの刺し身は食べれば食べるほどおいしさが増し、いくらでも食べられるのが不思議です。

 たん白な中に深みのある味。日本人が究極の味と探究しているのが「トラフグ」なのかもしれません。

 ふぐを食べる時、ふぐ刺しは燗(かん)酒で、その他は冷えた吟醸酒と決めています。ふぐ料理ほど日本酒に合う食材はないと思います。

 伊藤博文公が春帆楼でふぐ料理を食べ、そのおいしさに感動して毒のため法律で禁止されていたのを食べられるようにしたとか。命を取られても食べてみたいのがふぐ料理です。

 中でも周防灘で水揚げされる「トラフグ」が王様です。それが「徳山ふぐ」です。

(県磯釣連合会最高顧問)

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