コラム・エッセイ
『春の魔術で元気を!』
伊藤博之の釣れ釣れ談議例年より1週間遅れての桜です。一斉に咲き誇った周南市毛利町の桜並木はそれは見事でした。
多くの方がスマートフォンでしきりに写真を撮られていました。カメラでなく写真はスマホで。時代ですかね。変わらないのは桜の美しさ。太閤秀吉も桜の下で豪華な宴を開いたそうです。時代は変わっても満開の桜の美しさは変わらないですね。
お花見の宴も同じですね。春を引き連れて来る桜の花が心も陽気にさせて、浮かれ気分に誘うのでしょう。そんな桜の花も散り始め、初夏に向かって芝桜やツツジへとバトンタッチ。色とりどりの花、草木も緑を深めていきます。
心も鬱(うつ)から躁(そう)へ。“スプリングマジック”とでも言いましょうか。入学、進学、就職と大きな夢を持って飛び出すのも春です。またこの季節、魚も多くの種類が子孫繁栄のため産卵します。魚にとっては年に一度の大きな仕事です。
メバルは厳しい寒さが残る中、少し春を感じる1月から2月まで、子孫を胎生で産みます。アイナメも3月に入ると産卵、そして今、トラフグは産卵期のため4月20日まで休漁となっています。
これからカレイが産卵を迎えます。春から初夏に向かっては真鯛、黒鯛、石鯛、イサキ、キス、ベラなど普通の魚は卵を産むのですが、メバルと同じ胎生で、メバルのように小さい子でなく見た目もはっきりとした魚の胎生を産むのは海タナゴです。5月ごろが時季で、釣り上げた時、腹から海に落ちた子が泳ぐのに、びっくりした思い出があります。
ある地域では子宝に恵まれるようにとこのタナゴの子を玉子とじにして食べる風習があるそうです。腹から出るとすぐ泳ぐようなたくましい子供を授かりたい気持ちから生まれたのかもしれません。
そのほかエイの仲間、サメの仲間も胎生で、エイの子は魚市場で時々腹から出て動いている子を見かけます。魚は海水温で産卵の時季を決めます。近年は地球温暖化で海水温が上昇しているので、昔より1カ月以上は瀬戸内海の魚の産卵時季が遅くなっています。
また生息する魚種も変わってきています。少し低めの海水温を好むメバル、アイナメ、クジメなどの魚が激減しています。代わりに少し高めの海水温を好むメジナ、クロダイ、マダイ、イシダイなどが多くなっています。
春は多くの生物にとって新しい出発の時です。寒から暖へ、温もりは元気の源。懐ろにも温もりがほしいですね。
(県磯釣連合会最高顧問)
