2026年06月01日(月)

コラム・エッセイ

No.4 ウンカ④

中須里山通信 形岡 瑛

 たかだか10年近く前だが、除草剤も殺虫剤も使わない私の田んぼはもっと賑やかだった。なかなか草取りができないので雑草に囲まれてイネが育っている。草の上にもイネにもカマキリや糸トンボがわんさといた。朝田んぼ一面にはクモが巣を張り巡らし朝日が反射して輝いている。株元の水にはオタマジャクシ、アメンボが動き回り、クモが巣をかけたり這い回っている。カエルがいる。少し高いところにはトンボが飛び交う。燕(つばめ)が飛び交う。

 それが最近では、農薬を使わない私の田んぼでさえ、糸トンボとか探さないと見つからない。

 これらの生き物はウンカやニカメイガ、サンカメイガ、カメムシなどを餌として生きている天敵だ。殺虫剤は天敵も殺してしまうし、害虫がいなくなると餌がなくなるから天敵も生きていけなくなる。近年、ウンカだけに効く薬剤も作られるようになったが、それで死んだウンカを食べたクモが死ぬという事例も報告されている。

 中国から飛んでくるウンカにとって日本の田んぼは敵無しである。飛んでくる数が多かったというだけではないはずだ。

 農薬を散布することによって逆に害虫の大発生をもたらす“誘発大発生〟というのが、この度のウンカ被害だと私は考えている。

 いま、地球上の昆虫の数が減り、絶滅した昆虫も少なくないという。昆虫が減ればそれを餌とする燕などの鳥も減る。すると害虫が増えて作物の害が増えていく。

 地球の上で生きている生き物はすべて物質循環と食物連鎖で一つの世界をつくっている。農業という物がそのバランスを大きく崩すことによって危機を招いていることを知らなければならない。

  では、農薬を使わなければ事が済むかというとそうはいかない。農薬を減らす前に肥料、とりわけ窒素肥料を減らさなければならない。ウンカであれカメムシであれ、またイモチの病原菌であれ、それらのものは窒素過剰で作物に残留するアンモニアが大好きなのである。


 参考文献=桐谷圭司『害虫と戦う 防除から管理へ』(1972年NHKブックス)、『「ただの虫」を無視しない農業』(築地書館2004年)、『生態系と農薬』(岩波書店1973年)、伊藤嘉昭『生態学との農学遍歴』、寒川一成『緑の革命を脅かしたイネウンカ』(2010年自費出版)

交尾する糸トンボのつがい(2013年8月19日中須南久保)

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
山口コーウン株式会社

「安全で 安心して 長く勤められる会社」をスローガンに、東ソー株式会社等の化学製品を安全かつ確実にお届けしています。安全輸送の実績でゴールドGマーク認定を受け、従業員が安心して働ける環境と「15の福利厚生」で従業員の人生に寄り添っています。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

山田石油株式会社

ソロや友達と過ごす「おとなじかん」から、親子三世代で過ごす「かぞくじかん」も楽しめる日帰りレジャー施設「くだまつ健康パーク」。屋内で遊べる施設や岩盤浴、サウナも充実!