コラム・エッセイ
No.8 畦塗り
中須里山通信 形岡 瑛21日、4月なのに夏日になった。北の共同機械を借りて5カ所に分散している「あきらの田んぼ」の畦(あぜ)塗りをした。(写真)
畦のモグラの穴を潰して水漏れがないようにする作業だ。水が湛まらないと始まらない。水田なのだから。
最初は機械で畦塗りが出来ようか、と思っていた。やってみると機械はよく出来ている。畦際の土を砕いて畦背の上に跳ね上げドラムで押し付けて固める。
昔は、鍬(くわ)で畦を削り水を入れて田んぼの土を捏(こ)ねて上に乗せ、鍬で抑えて固めていた。畦の上を鍬でぴったり水平に、水際は斜めに鍬でしっかり抑える。その鍬の跡が見事な景観を形作る。
米づくりを始めた頃は機械を使わずに鍬で畦塗りをしてこの美しい田んぼの光景を作りたいと思っていたがとんでもない。
10年前、北の棚田オーナーになって1アールの田んぼでままごとみたいなことをしていたとき、佐伯のばあちゃんがやって見せてくれた。そのとき80歳近かったと思う。60年近く百姓仕事をしてきた大ベテランだ。平鍬で土をすくってさっと畦の上に乗せ、鍬の背でぴたっと抑えすっと押して平らにする、軽々とやっているのを習ってやってみた。20メートルばかりのところでなんとかやったが、出来映えはいまいちだ。
このような左官の仕事も「百姓」(百種類の仕事)の一つだ。
でもそれきりだ。相当の面積で一から全部自分でやり始めるととてもそんなことはやってられない。機械のおかげでなんとかやっていける。最近、機械の使い方もやっと慣れてきた。
