コラム・エッセイ
No.19 「悲しき農村」①――イノシシ
中須里山通信 形岡 瑛にこまる約20アールがイノシシにやられた。刈り取り前の10アール、入り口で転げ回ったあげく奥まで入って稲穂をほとんどしゃぶりつくしている。立っているのは穂をしゃぶられた稲だ。(写真)別にもう一箇所、刈り取りをしてハゼ干ししたのを下から引きずり下ろしてしゃぶっている。
休耕田や農道の草を短く刈った、その草の下の土を掘り返してミミズをあさっている。ミミズをあさって進んできたところに稲が実っているのを目にする。ついでに中に入って転げ回り稲穂をしゃぶるのである。
米に被害が及ばなくとも、休耕田や農道が掘り返されて凸凹になり保全管理に大きな支障となる。ひどいときには田んぼの畦を掘り崩してしまう。
被害を防ぐ手段はいろいろある。
電柵、樹脂の網、鉄の網で囲うなど。農地ではなく、農地の周りにある山林の縁に鉄格子を張り、山から出てくるのを防ぐなどである。
この被害対策にはそれぞれ費用と労力がかかる。一番有効とされる電柵は、下草が伸びて電線に触れると漏電して無効となる。いったん触れても何でもないという経験をするとあとは少々のことがあっても入ってくる。常に柵の下の草を短く刈っておかなければならない。金網の柵は、這い回って隙を見つけて柵の下の土を掘って入ってくる。見回りをして危ない箇所を点検して補強しなければならない。
罠を仕掛けて捕ってしまう。いわゆる駆除である。これはもう、イノシシと人間の闘いだ。だが、イノシシを絶滅させるわけにはいかない。機械化で楽になり人手が要らなくなったが、それは過疎、高齢化をもたらし、野生動物が人里を闊歩する。
イノシシ2021年10月6日西河内
