コラム・エッセイ
No.22 「悲しき農村」④ ―― サル
中須里山通信 形岡 瑛今年はサルが村中を荒らし回っている。一時はサルと言えば須金だったが、12、3年くらい前から中須にも群れが定着し出没し始めた。台所の窓ガラス越しに、真っ赤なものが見えると思ったら、サルのおけつだったとか、笑えない話もある。
今年は、特にひどいように思える。7月5日、サル3頭が我が家のトタン屋根に上がってどんどん走り回り、翌日には、大きなやつが屋根を越えて隣の畑のトウモロコシに。大声で怒鳴ると遠くを迂回して中学校の方に引き上げて行った。11日には「のぶこの畑」に侵入、トウモロコシ、枝豆、かぼちゃ、ナス、胡瓜(きゅうり)がやられた。かぼちゃは全滅した。見回り中のてっちゃんが「畑にサルが入っちょるど」と知らせてくれた。畑に駆けつけるとサルたちはいっせいに中学校の方に逃げて行く。子ザルもいる。てっちゃんが車で追いかけて行ったが、校舎の2階のベランダの縁を悠然と歩いている。人気のない校舎をねぐらにしているのか。
農林課に知らせると翌日猟友会の人がモンキードッグを連れてきてくれてサルを追った。そのあとは、自宅周辺には現れなかったが、12月10日、日曜版の配達中、相地の同級生のKさんの畑のそばを通りかかると白菜がよく出来ている。Kさんの夫さんが居たので「よくできてますね」と声をかけると、「できてるじゃない。サルに荒らされてこのありさま、20、30くらいでやってきた。白菜は食いちらかすは、ニンジンを抜いてポリポリ囓(かじ)る。見よったらおそろしゅうなる」「福岡に居たのだけど、退職後野菜作りを楽しみにこちらにきたのに」
老後の生きがいを奪われては気力が失せていくという心情だ。サルはイノシシより厄介だ。防護柵も、人間同様手を使うのだから、仕掛けがむつかしく費用がかさむ。行政の補助があるにはあるが、小規模の家庭菜園ではとても追いつかない。安価で有効な防護柵ができないものか思案を始めた次第だが、果たして?
サルに喰いちぎられた白菜(12月10日、山口県周南市中須南相地)
