2026年06月01日(月)

コラム・エッセイ

No.58 農村の希望(2) 「究極の田んぼ」2

中須里山通信 形岡 瑛

 岩澤信夫さんの『究極の田んぼ』で述べられていることから、稲という作物、コメという食物の素晴らしさに感激した。周りの農家にこういうコメ作りがあると説いて回ったのだが、全く経験のない、何もしていない者の云うことに耳を傾ける者はいない。

 毎年々々、日々それぞれの田んぼに取り組んでいるのだ。「ならば自分でやってみるしかない」と、熱に浮かされたようになった。

 空いている田んぼはないかと?、3の人に当たったところ、中須で一番高い岡山の西側斜面の棚田の一角に10aばかりのところを借りることができた。その一帯の棚田は、山の中腹にある堤が資源で、秋が終わると春まで水を止める。冬期湛水は当然、叶わない。

 次の年、小学校の裏の田んぼを作っていた人が止めるというので、すぐに手をつけた。そこは、お大師山の湧き水が流れてくる小川があったが、山が荒れてしまって水量が減っている。

 おまけに水持ちが悪く一年中水を溜めるのはむつかしい。それらを改良して条件整備をする能力もなかった。

 「究極の田んぼ」とはかけ離れた有様だで、冷静に考えると、それは愚かなことだったのだ。

 それでも、「苗が鍵だ」というので、成苗を植える中古のポット田植機を入手して育苗にも挑戦、とにかくコメ作りを続けてきた。そのうち、離農者が相次ぎ、それらを引き受けて、耕作面積が1ヘクタール近くになった。

 今年、11年目の秋、水の当たり具合による格差が特に際立った。同じ一枚の田んぼでよくできたところと貧相なところがある。一部は、高温と乾燥で繁茂する厄介な雑草に潰されてしまった。

 今更ながらだが、「水がすべてだ」と思い知らされた。

ハゼかけをした亀の尾(10月4日)

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