2026年07月17日(金)

コラム・エッセイ

[季節の中で]葉月(一)

随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)

 子どもたちは夏休みのさなかです。今も早朝のラジオ体操をしているのでしょうか。花火やキャンプ、帰省やお盆など家族や古里を思う季節です。

 明治の軍人、政治家として活躍した児玉源太郎も時折、郷里に立ち寄って私邸の一角「三五庵」で寛いだようです。台湾総督、日露戦争で大きな功績を残した後、明治39年(1906)7月に病没。55歳で旅立ち、116年目の夏になります。

 没後110年に地元有志で設立した児玉源太郎顕彰会は今年も7月24日に児玉神社で命日祭、菩提寺の興元寺で供養を営みました。遷座百年で一新された社殿で黒神直大宮司の祝詞、興元寺本堂では金子清学住職ら僧侶5人の読経がしみじみと胸に響き、116年の時を超えてその存在が身近に迫りました。

 設立翌年の平成29年から始めたこれらの「藤園忌」行事は茶会と俳句募集もあります。周南文化協会に事務局を置くことで動き始めた顕彰会。源太郎は私財を投じて児玉文庫を作るなど文化、教育でも貢献しています。文庫は明治36年(1903)から戦災で焼失する昭和20年(1945)まで42年にわたり、親しまれてきました。周南市立中央図書館の前身です。

 茶会はコロナ禍で2年の中断を経て3年ぶりに7月23日催しました。裏千家淡交会の担当で、箏や尺八の音を聴きながら一服のお茶に豊かな時の流れを感じました。俳句は7月まで募集、8月中に選考して9月24日表彰式を予定。どんな句が特選に入るのでしょう。顕彰会事務局長として興味深いです。選者のお一人、周南市出身の俳人宇多喜代子さんの一句。

  大きな木大きな木陰夏休み

 月刊誌「NHK俳句」8月号の巻頭名句を飾っています。現代俳句協会特別顧問と大御所ながら気さくな人柄で今から6年前、文化協会の文化講演会にお招きしてからのお付き合い。「何事も依頼されたら自分への信頼だと感謝してお応えします」。この一言が胸に刺さりました。

 終戦の時は小学校4年生。空襲は東川の橋のたもとに避難して難を免れました。悲惨な光景は目に焼き付いています。「私はかたくなにこの日を『敗戦の日』だと心得ています」。いのちについて考え続けます。代表句の一つ─。

 八月の赤子はいまも宙を蹴る

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