2026年07月17日(金)

コラム・エッセイ

又々 文月(二)

随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)

 中国地方は8日、平年より11日早く梅雨明けしました。いよいよ真夏の到来。山開きや海開きが行われて登山や海水浴で賑わう季節になりました。

 松原遠く消ゆるところ
 白帆の影は浮ぶ
 干網浜に高くして
 鷗は低く波に飛ぶ
 見よ昼の海 見よ昼の海

 文部省唱歌の「海」。大正2年(1913)の「尋常小学唱歌」に掲載されたこの歌を父も母も歌いました。戦後の昭和25年(1950)生まれの私にも馴染みがあります。光市の海辺近くで育ったので歌の美しい情景はよく分かります。瀬戸内ではいわし漁も盛んに行われていました。

 丘の上の光井小学校からは水無瀬島や遠くに祝島が見えました。夏休みには室積海水浴場へ。毎日のように通って夏休みの終わりには肌は黒光りしていました。虹ケ浜は光駅から近かったので列車が着くと海水浴客は競うように松林の海の家へ。小さく仕切った貸間を利用して家族や仲間と一日中、泳いだり、スイカ割りをしたり、真夏の海を満喫。かき氷も楽しみでした。

 今から半世紀以上も前の光景を懐かしく思い起こします。中学生の時は恒例の合宿訓練が周防大島の青年の家でありました。カッター訓練で太いオールを漕いで近くの笠佐島へ。大島商船学校の学生の指導で鍛えられました。周防大島と大畠を結ぶ大島大橋が昭和51年(1976)開通するまでは周防大島町小松と大畠を連絡船で渡っていました。大畠から笠佐島、周防大島を眺めるたびにあの日々がよみがえります。大島大橋も開通してこの7月4日で50年。6月30日から3日間、連載された中国新聞「大島大橋―架け橋の半世紀」を読んでその光と影を考えさせられました。

 7月の第3月曜日は「海の日」。今年は20日にあたります。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」国民の祝日として平成8年(1996)に施行されました。海はかつて漁師や海女が生活の糧を得る場であると同時に神聖な場、穢(けが)れを払うための禊(みそぎ)の場でした。海水浴は海水につかって病気を治すための健康法として18世紀に欧州で始まり、日本には明治時代に伝来、神奈川県大磯に初めて海水浴場が開設されました。

 身にひしと乙女の頃の水着きる  赤松 蕙子

 徳山の古刹、徳応寺坊守(故人)の一句。歳時記に掲載されるほどの俳人。青春から遠ざかる哀歓が漂います。

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