コラム・エッセイ
又々 葉月(二)
随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)お盆を経てまた日常が戻りました。戦後81年の夏が過ぎ行きます。戦争体験者が年々減って戦争を知らない世代にどのように語り継ぐのか。戦争の悲惨さ、平和の大切さを終戦の日に改めて胸に刻みます。新聞やテレビ、ラジオも特集を組んで国民に語りかけます。太平洋戦争で犠牲になった310万人の御霊に安らかなれと心から祈りを捧げるとともに、ご遺族のご苦労は如何ばかりであったかと思いを馳せます。
8月15日。昭和20年(1945)のこの日、日本はポツダム宣言を受諾して太平洋戦争は終結しました。戦争の過ちを繰り返さぬよう、平和への誓いを新たにする日です。日本武道館で開催される全国戦没者追悼式を毎年拝見するたびに心の痛みを覚えます。
敗戦忌宵待草の花群れて 十島 三郎
野に咲く宵待草を見ながら敗戦忌に思いを寄せる作者。胸中に去来するのは何でしょうか。読者の思いもさまざまでしょう。
8月生まれの私も76歳になりました。還暦を迎えた時は感慨一入でしたが、この齢で振り返ると随分若いなと感じます。同じ8月生まれで幼なじみの友も、高校の同級生で後年親しく付き合った友も古希を過ぎて旅立ちました。思い起こせば楽しかった日々がよみがえります。ふるさとの学び舎や同窓会での日々、東京の酒場やレストランでの日々がいかに尊いものであったかと思います。
友との別れが続く中で、人生の悲哀を感じながら残された時間について考えることが増えました。その頃、日刊新周南から随想を連載しませんかとお誘いがありました。「70歳を過ぎて心の中に移りゆく感懐を綴るのも意味があるかな」と再度の催促にお受けしました。折々の季節の中でどう生きているのか。自分を見つめながら時代の風も感じていただければと思いました。
随想のタイトルは『季節の中で』。私の好きな松山千春の歌がヒントです。「うつむきかけた貴方の前を/静かに時は流れ/めぐるめぐる季節の中で/貴方は何を見つけるだろう‥」。令和4年7月から隔週木曜日掲載の随想がこのようにして始まりました。
平成22年(2010)に75歳で亡くなった作家、劇作家の井上ひさしは言葉の豊かさを大切にしながら人と人とのつながり、共同体のあり方を考えました。「むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをおもしろく」。彼の言葉をかみしめます。
