コラム・エッセイ
又々 神無月(二)
随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)夕焼けが美しいです。西の空を真っ赤に染めて日が沈んでゆきます。刻々と変わる空の色を眺めていると「あゝ生きているのだ」と手を合わせたくなります。自然と感謝の気持ちが湧いてきます。
徳山出身の詩人まど・みちおの散文詩「さようなら」は次のように書き出しています。
子供よ、あの赤い夕焼は、一日が「さようなら」って言っているのだ。
子供よ、今落ちた木の葉の、あのしずかな音も、やはりあの木の葉の「さようなら」だ。
‥‥
夕焼けは子どもの頃の思い出につながります。学校から帰るとランドセルやカバンを置いて外に駆け出しました。お寺の境内で鬼ごっこをしたり、缶蹴りをしたり。日が暮れるまで遊んでいました。「帰ろうか」「また、あした」と夕日とともに家路に着いていました。高度経済成長のさなか、昭和30年代に小学生時代を過ごした世代です。今の子どものように習い事をするでもなく遊んでばかりでした。
ビッグコミックスの西岸良平著『三丁目の夕日』に描かれる世界がまさに私が小学生から中学生になる頃の社会です。貧しいながらもほのぼのとした人情のある暮らしに人々は輝いていました。年々豊かになる暮らしを実感できたからでしょう。一話一話に心が動く連載は三丁目の夕日『夕焼けの詩』(小学館)として昭和50年(1975)から今日まで発行され続けています。今年3月発行で72集を数えます。平成17年(2005)には映画化されてご覧になられた人も多いでしょう。懐かしい光景に心が温まります。
10月から11月にかけて芸術の秋は彩られます。一年で最も過ごしやすい好季節。文化活動も各地で繰り広げられます。「文化の種をまき、実をみのらせる」ことをめざす周南文化協会加盟団体の活動も活発です。新南陽地区文化祭が10日と11日に周南市ふれあいセンターで、熊毛地区総合文化祭が11日にサンウイング熊毛で、周南邦楽連盟20周年記念演奏会が11日に周南市文化会館でありました。
仕事や家事をこなしながら日々精進してそれぞれの道を究めておられます。進めば進むほどその奥深さに気づかされる道でもあります。それでもなおひたすら歩み続けます。それらの活動が社会に潤いをもたらします。生きる喜びと生きる力を与えるのです。
稽古とは一より習ひ十を知り
十よりかへるもとのその一
(利休百首より)
