コラム・エッセイ
神代商会のかき氷
翠流▼先日、社長の神代政和さんが71歳で急逝した周南市代々木通の神代商会のかき氷の店が再開した。土、日曜を中心にサラリーマンの息子さんが手伝って続けることになったそうだ。
▼自社製の氷を削る昔ながらのこの店のかき氷は近所の人たちや子どもたちに大人気。遅い梅雨明けで、梅雨が明けた直後から猛暑。かき氷など冷たいものがほしくなる。神代さんの笑顔はないが、今年もにぎわっている。
▼店は周南市役所の西側。代々木公園前の交差点近く。店内には毎年夏に氷のプレゼントを続けた徳山動物園のホッキョクグマや、動物園から贈られた園内に掲示していた説明板も飾られ、神代さんの人柄がしのばれる。
▼棚には神代さんが用意していた30数種類の“みつ”が並ぶ。今年、初登場の「ドラキュラ」は黒いみつだ。小さいカップだとかき氷250円、ミルクかけ、金時は300円、ミルク金時350円。今年は感染症予防へ店内に椅子とテーブルは置いていない。
▼亡くなる1カ月ほど前、今年の開店直後に取材したばかりだった。新型コロナウイルスで飲食店の営業自粛やイベントの中止で氷の需要は減少気味だが「子どもたちにはかき氷で楽しい夏を過ごしてほしい」と話していた。
▼花火、海水浴、夏祭り、マスクのいらない日常など「ふだんの暮らし」がどんなに大切だったかを日々、思わずにはおれない状態が続いている。冷たいかき氷を口に入れ、一瞬でもあの夏を懐かしんでほしい。(延安)
