コラム・エッセイ
周南市内の松下村塾
翠流▼周南市の徳山大学の駐車場近くに松下村塾がある。萩市の松下村塾を徳山大学の開学20周年、吉田松陰生誕160年の1990年に摸築したもの。昨年、松下村塾が近代日本の産業化初期の遺産群の一つとして世界遺産に登録されたことを紹介する看板も駐車場から松下村塾に向かう道のそばに建てられた。
▼松下村塾は吉田松陰が教えた私塾で、門下生には、高杉晋作ら幕末に活躍した志士や、伊藤博文、山県有朋ら総理大臣にもなった政治家の名前が浮かぶが、産業、経済界に進んだ塾生もいた。
▼看板には「吉田松陰が提唱した工学教育論は、工学の教育施設を設立し、在来の技術者を総動員して自力で産業近代化の実現を図るというもので、その教えを受け継いだ塾生らの多くが、後の日本の近代化・産業化の過程で重要な役割を担った」とある。
▼村塾の名前の通り、増築部分を合わせても十数人が集まればいっぱいになってしまいそうな小さな塾だが、ここから近代日本が始まった。この摸築は徳山大学もその精神を受け継いでいることの証しでもある。
▼周南市にはもう1カ所、公園区の山口放送の構内にも松下村塾が模築されている。山口放送のあるあたりはかつての徳山藩邸跡。周南市文化会館の前庭にはその遺構があり、徳山毛利家ゆかりの祐綏神社も隣接し、城下町の雰囲気を残している。市内の松下村塾。明治150年の今年、もう少し関心が高まってほしい。
