コラム・エッセイ
「令和の米騒動」その後
翠流▼和食の基本は一汁一菜とご飯。瑞穂の国の食卓はコメがなくてはなりたたないと改めて気づかされたのが、昨年からの「令和の米騒動」だった。
▼一時はスーパーマーケットの棚からコメがなくなって大騒ぎになった。今は新米も出回り、棚にはコメの袋が積まれている。値段は新米も2024年産米も5キロが5千円前後。新米が2〜300円ほど高いが、大きな差はない。
▼マスコミでは値段が高止まりしていることが時々取り上げられるが、流通や生産費のことがテーマになることはほとんどなくなってしまった。
▼集荷業者、卸業者、小売業者の間で役割分担があり、卸業者間の融通もあって複雑化した一面がある流通。長く農家が赤字覚悟で生産を続けざるを得なかった価格など、多くの問題が浮かび上がった。
▼収穫量や消費量を正確に把握する手法もない中、石破首相はコメの減産から増産へ方針転換に踏み切った。備蓄米はその保管方法、保管場所のかたより、消費者に届くまで時間がかかり過ぎることがわかり、備蓄、供給方法の見直しの必要性も指摘されている。
▼生産者の高齢化や農地の荒廃・減少など根本的な課題があるコメづくり。今こそ、コメに対する関心を高め、いつまでもおいしい地元産の米がスーパーに並ぶ状態を持続する仕組みを作るチャンス。生産者、農協を含めた流通業者、消費者からも、もっと課題の指摘や解決への提案があってほしい。
(延安弘行)
