コラム・エッセイ
大津島の未来と「碧き海」
翠流▼周南市の大津島の馬島で11月7日、8日午後2時から、若林哲行さんプロデュースの野外劇「碧き海〜サイドストーリー」の公演がある。野外劇とあって、スタッフは4日から9日まで、島内の体験交流施設「海の郷」に泊まり込んで、舞台の設営やけいこに取り組む。
▼出演者だけで14人、総勢では20人ほどが大津島で1週間近くを過ごすという。船で島を訪れる観客、支援する市民、8日に開かれる回天搭乗員と潜水艦乗員の追悼式の出席者、島の住民などとどんな出会い、交流が生まれるか注目したい。
▼今回の野外劇は終戦まで大津島に訓練基地があった特攻兵器「回天」の搭乗員を描く。公演の会場となる大津島小中学校はその訓練基地の跡。まさに搭乗員の若者たちが汗と涙を流しながら訓練を受け、出撃していった「現場」での上演となる。
▼1944年11月の最初の出撃から82年、終戦から81年。会場近くの回天記念館では最初に出撃した「菊水隊」を紹介する特別展「大津島基地からの初めての出撃隊。『菊水隊』」も開かれている。出演者などスタッフは何を感じ、どう表現するだろうか。
▼過疎の島といわれ、住民の高齢化が進む大津島。一方で、回天に関係する戦争遺跡に加え、大津島ならではの石材を柱にした小屋を再生した茶室「石柱庵」などによって、瀬戸内海ならではの自然と人の交わりを味わえる地でもある。今回の2日間の公演とその前後を合わせた1週間が大津島の未来につながるものになってほしい。
(延安弘行)
