コラム・エッセイ
(22)JR徳山駅
補 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
山陽新幹線の徳山駅は、ホームから海が見える全国でも珍しい駅でもある。あえて、そうした利点を取り入れているのが、海側のホームの壁面を覆う透明のガラス窓であろう。その景観は、素晴しいの一言に尽きる。
瀬戸内海に浮かぶ仙島、黒髪島、大津島、馬島などの島々、徳山湾を行きかう商船や漁船、石油コンビナートの工場群、スオーナダフェリーが発着するフェリー発着所、晴海親水公園など多く景色を見ることができる。
ホームができた当時と比べると、高いビルが建設されるなど、見通しにかなりの変化があったようであるが、それでも、ホームから海が見えなくなったわけではなく、海に一番近い新幹線の駅であることに違いない。
下り線ホームからは、目の前に広がる風景を一望することができるが、上り線のホームから見える風景もまた違った良さがある。窓枠がアクセントになって、風景がまるでふすま絵や屛風絵のように広がって見える。
その風景は、春、夏、秋、冬のそれぞれの季節によって姿を変え、明け方、日の出、日中、夕方、夕暮れ、夜のそれぞれの時間によっても姿を変える。そして、晴れ、曇り、雨、雪などの天候によっても大きく変わる。
そんな風景を見ることができるのは、新幹線に乗る時や降りた時、出迎えた時や見送った時に限られる。それは、新幹線の徳山駅を利用した人だけに与えられる最高のご褒美であり、最高の贅沢と言えるかもしれない。
また、風景をより旅情的にしているのが、ホームの屋根から吊り下げられた駅名標であろう。「徳山」と大きく書かれた文字の下には、ひらがなの「とくやま」と、ローマ字の「Tokuyama」がつけられている。
駅名標の一番下には、路線カラーであるブルー(青)の帯があり、隣の駅名である新岩国と新山口がひらがなとローマ字で書かれている。そして、新山口の駅名の横には進行方向を示す白色の矢印がつけられている。
