コラム・エッセイ
(27)秋の古川跨線橋
補 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
記録をたどってみると、今から6年前の令和2年(2020)の6月30日から古川跨線橋の架け替え工事が始まっている。その影響で、これまで通勤通学や買い物などで利用されていた跨線橋は、全面通行止めとなった。
跨線橋の全面通行止めは、橋を架け替えるのであれば、当然と言えば当然であろう。それを十分理解していたはずであるが、普段何気なく渡っていた跨線橋が通行できなくなる不便さは想像した以上のものであった。
当初の計画では、跨線橋の撤去に5年、新しい橋の設置に5年、合計で10年が必要とされていた。工事が始まった当初は10年という長い歳月に絶望すら感じていたものの、いつの間にかすでに6年以上が経過していた。
そして、今年の2月、北側ヤードで組み立てられていたトラス橋を鉄道線路上に押し出す作業が進められたことによって、新しい橋の姿を見ることができた。その作業の様子は、一般にも公開されて大きな話題となった。
新しい橋が鉄道線路上に姿を現したことによって、開通への期待が一気に高まったように思われるが、まだ工事期間の折り返し地点をわずかに過ぎたあたりである。これから先にも、多くの難工事が待ち受けている。
人々の関心が次第に薄れていく中で、トラス橋の送り出しを支えていた架設桁の引戻しと解体があった。さらに、空高くに浮かんでいたトラス橋を本来の位置にまで降ろす「トラス橋の降下」の作業が続けられた。
そして、現在では、数々の難工事を無事に乗り切って、トラス橋が本来あるべき位置に収まっている姿を見ることができる。まだ完成までには多くの作業が残されてはいるが、無事に工事が完成することを信じている。
秋の気配が漂う中に見えるトラス橋の姿には、未完成ではあるが、どこか無事に移動をやり切ったという自負が感じられる。そこには、これまで工事を支えてきた全関係者の気持ちが込められているのかもしれない。
