2025年10月26日(日)

コラム・エッセイ

第百二十一手「私の囲碁の師匠③」

「碁」for it 小野慎吾

 第116、119手目にて筆者の幼稚園から中学生時代までの囲碁の師匠を紹介しました。本シリーズは今回が最後で、高校生から大学生までの師匠を紹介します。

 高校1年生の頃は渕野敦さん(故人)に師事していました。筆者が高校生の頃、渕野さんは県内で常に上位にいる選手でした。棋風(囲碁の戦略)は、序盤の定石に精通していて定石を主軸に序盤でポイントを稼ぎ、そのまま逃げ切り勝ちが多かった様に記憶しています。逆に中盤戦(接近戦が多い)はあまり得意でなかった印象で、複雑化した局面になるとミスをして逆転負けをしている姿もよく拝見しました。高校生の頃の筆者は中盤戦で何とか逆転して勝利していた棋風だったため、師匠とは全く逆の棋風でした。

 師匠の自宅は田布施町で、休みの日になると周南市から田布施町まで電車で通い習っていました。その頃の筆者は序盤の定石をあまり大切にしていなかったため、師匠は定石の大切さを説いてくださり、様々な定石(マニアックなものも含め)を教えてくれました。それがキッカケで定石の面白さにハマリ、定石の本を買いあさっては自身で研究するようになりました。師匠から「研究」の大切さを教わりました。

 当時、師匠が教えてくれた定石の中には現代でも通用するのが多々あり、自身の序盤戦の礎になりました。今までヨミ(先を見通す力)だけで打っていた筆者は序盤の戦略の理解が深まり、劇的に勝率が上がりました。20年以上たった現代でも、師匠が教えてくれた定石は使えるものが多々あります。今でも師匠定石(?)を使用した際には、師匠が一緒になって戦ってくれていると感じ、心強いです。

 最後の師匠は山田太喜三さん(地方棋士八段・故人)です。第58、59手目にも紹介しています。師匠には高校2年生から大学進学時まで師事しました。師匠はプロ棋士でしたが、戦争を折にプロを断念し地方の囲碁普及発展に力を尽くす地方棋士の道を選んだそうです。筆者は師匠の晩年の頃の弟子だったと思います。

 碁会所の大会で対局したのが最初の出会いです。高校生の筆者は渕野師匠から教わった技術で、全国大会で好成績を収め、少し天狗になっていた様な気がします。最初は山田師匠を知らずに打ち、コテンパンにされたのを覚えています。それから、大会で事ある事に山田師匠と対局し、いつの間にか師事するようになっていました。

 師匠は私のような若輩者に勝った時にもとても喜ぶのが印象的でした。余計な進言はせず、気にかかった部分のみを優しく、的確にアドバイスをしてくださりました。「勝負」にこだわりだしていた筆者に、囲碁は「楽しい」という事を再認識させてくれた師匠です。師匠から多くの愛情を受けていたと思います。

 今、筆者は囲碁を教える際に「楽しい」と「愛情」を一番重要視して囲碁の普及活動をしています。筆者は様々な師匠に師事した事により多くの事が学べました。良い師匠に巡り合えたのは最大の幸運です。

 師匠に続けるよう「碁」for it(頑張る)!

広島子供囲碁大会で14級をGET!(生徒のI君)

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