コラム・エッセイ
第百二十二手「囲碁のルールとマナー①」
「碁」for it 小野慎吾1月20、22、23日に韓国で「第29回LG杯挑戦日報棋王戦」(韓国棋院主管)の決勝3番勝負が開かれました。本大会は韓国、中国、中華台北、日本の4カ国で世界一の選手を決める個人戦です。決勝戦の組み合わせは中国のトップ棋士、カケツ九段(中国囲棋協会所属)と韓国のピョン・サンイル九段(韓国棋院所属)でした。決勝戦は2勝1敗でピョン・サンイル九段が世界優勝をします。
ですが、この決勝戦で筆者としては衝撃的な出来事が起こります。2局目、3局目はカケツ九段が「取った石(死に石)の管理規定」に違反して反則負けになり決勝は決着しました。※囲碁は相手の石を四方から囲むと取れます。取った後の石を死に石と呼びます。本大会の主管は韓国棋院で、韓国棋院のルールでは「取った石は指定された碁笥(ごけ)の蓋に保管」になっています。2局目、3局目で同じミスを繰り返し累積警告で反則負けになりました。色々な背景があり、この反則は起こりました。筆者個人はこの結果に思うことが多々あります。
そこで、今回は囲碁のマナーを1つ紹介します。囲碁を対局する際に対してマナーと言うのは沢山存在します。その中でも筆者が代表的だと感じるのは「初手の着手地点」に関するマナーです。囲碁はどこに打ってよい自由さが楽しみの1つです。それでも実際の対局となると勝ちやすい着手地点は存在します。それは「隅」という場所です。隅は右上、右下、左上、左下に点がある場所を中心にその付近の総称です。そのため隅は4カ所あります。
初手を隅から着手すると勝率が高くなるため、隅の4カ所の内どこでも打っていいかと言うとマナーが存在します。マナーとして初手は右上隅に打ちます。理由は「対局相手の多くは右利きであるという前提で、対局相手にとっての右側を空けておくことでスムーズに最初が進行できる」と判断されているためです。実際にプロ棋士同士の対局は、初手は右上隅に打っている事が99%と言うデータがあります。
初手を右上隅に打つのはルールではなくマナーです。筆者が長年囲碁を打ってきた中で、初手を右上隅以外に打たれたことは両手で数えるくらいしかありません。
囲碁はグローバルなゲームですが、日本・韓国ルールと中国ルールの系統に分かれています。一番のルールの違いは計算方法です。計算方法を説明するのは難しいため割愛しますが、中国ルールでは「取った石を計算する時に使わない」事が特徴的です。計算方法に違いはありますが、ほぼほぼ勝敗結果は同じです。日本でする場合は日本ルール、中国でする場合は中国ルールと慣れ親しんだ囲碁のルールが存在します。
今回の世界戦の結果についてはルールとマナーの狭間で起こった反則負けだと考えます。中国で囲碁をしている人は慣れ親しんでいるのは中国ルールです。中国ルールの場合、取った石を計算に使わないため、取った石を指定された碁笥(ごけ)に入れる事は日常的にしません。自身が選手であればそのような事態があった場合、相手の選手に指定の場所に入れて下さいと一言いえば済む問題だと思いました。囲碁の勝敗は盤上のみで双方決着をつけるべきだと強く思います。
互いに気持ち良い対局が出来るよう「碁」for it(頑張る)!
1年ぶりに囲碁を楽しむ生徒(手前側)
