2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(2)冬の雨

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 昼を過ぎたころから、雨が落ち始めた。天気予報は、夕方ごろからといっていたが、早まったのだろう。大した用事でもなかったので、出かける予定を取りやめた。それでも、行けないとなると残念でしかたがない。

 それにしても、最近の天気は異常としか言いようがない。12月に入っても寒くならないどころか、20度を超える日が続くほどである。地球の温暖化が影響しているとしたら、この先どうなっていくのかが心配になる。

 雪の風景を心待ちにしている者にとっては、寂しい状態が続いている。周辺の風景がどこか戸惑っているように見えるのは、気のせいであろうか。冬には冬にふさわしい風景があると思うのが間違いかもしれないが。

 ふと見上げると、移ろいゆく季節が忘れたかのように渋柿の実が雨に濡れていた。そこに、ジョウビタキのメスが飛んできた。渋柿を食べに来たのであろうが、あいにく柿は完熟すことなく皮だけが強く固まっている。

 スズメより小さなジョウビタキには、その硬い殻を破ることは無理であったに違いない。そこで、仕方なくであったかどうかは分からないが、柿の枝に絡まったままのアオツヅラフジと思われる青白い実をついばんだ。

 以前調べたことがあるが、アオツヅラフジの実は有毒であるとされている。そのため、葉が落ちた後も食べられることなくつるに残り続けているところをよく目にする。ジョウビタキも一粒以上食べることはなかった。

 まるで厄介者のような扱いをされているアオツヅラフジであるが、決してそんなことはない。かっては、籠(かご)の一種であるツヅラ(葛籠)や買い物かごなどを編む材料として利用されるほどの有用な植物であった。

 冬にもかかわらず、けっして冷たい雨とは言えない雨は、降ったり止んだりを繰り返している。しばらくすると、ジョウビタキはどこかに飛んでいった。渋柿を食べることができるのは、もう少し先になるのだろう。

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