2026年06月02日(火)

コラム・エッセイ

(3)幻の金山(1)

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 小雪が舞う中、周南市夜市の才原、畑集落周辺で鉱山跡を探した。しかし、『郷土誌 矢地から夜市へ』(夜市地区コミュニティ推進協議会)に「幻の鉱山」として書かれている鉱山跡を見つけることができなかった。

 さらに、地元の人に鉱山のことを聞いてみても、返ってくるのは「知らない」という言葉ばかりであった。そんな答えは、どこに行ってもよくあることで、特に関心を持たれることが少ない鉱山であれば当然であろう。

 それに加えて、発掘が行われていたのが明治末期から大正初期にかけてであったことが関係しているのかもしれない。どこの地域も、昔を振り返る余裕もなく、押し寄せる過疎化の波に流されているのが実情であろう。

 たとえ、鉱山跡を見つけたところで、それが直接何かの役に立つ訳ではないかもしれないが、途切れつつある地域の歴史を次代に繋ぐことができるかもしれない。そのためにも、どうしても鉱山跡を見つけたいと思う。

 鉱山は、数年間試掘されて多額の私財が投資されたが、ついに目的の鉱石が出ることなく事業も廃止されている。目的であった鉱石は、薬品を入れて分析・分解されていたことから「金鉱石」であったと思われる。

 その「金鉱石」は、想像以上に不思議な鉱石といえる。金塊(きんかい)や砂金などの例外を除けば、金そのものが肉眼で見えることは稀である。直接目にすることができないからこそ、誤解や誤認が生じるのであろう。

 金鉱石から金を取り出す方法としては、古くからの「灰吹法」や水銀を使った「アマルガム法」、青化カリなどを用いた「青化法」、現在主流となっている銅の溶鉱炉を利用した「電解精錬」などがある。

 「幻の鉱山」での精錬方法は不明である。水車で小さく砕いていたことや薬品を入れていたことから推測することはできても、特定は難しい。

 気がつくと、先程まで風に舞っていた雪が、積もり始めていた。

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