2026年06月02日(火)

コラム・エッセイ

(5)幻の金山(3)

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 周南市夜市での鉱山跡の探索は、かなりの回数を重ねてきたが、依然として発見できないままであった。土地台帳や鉱業原簿などの公的資料に手がかりが残されているものと調べてみたが、いずれも無駄に終わった。

 すでに埋没した可能性もないとは言えないが、あきらめることなく対象区域内を隅から隅まで探すほかはない。何より心強いのは、子どもの頃に鉱山跡を見たことがあるという地主さんに協力してもらえることである。

 天候が回復したこの日も、地主さんに同行してもらって今まで足を踏み入れたことのない場所の探索を開始した。ところが、山に入るとすぐに不法投棄されたテレビや洗濯機、タイヤなどの無残な姿が目に入ってきた。

 怒りと共に心が痛くなる。豊かな自然環境を、安っぽい自己の都合で汚(けが)す行為は決して許されるものではない。さらに、不法に投棄された廃棄物は、土地の所有者に処理する責任があることにも怒りが湧いてくる。

 気を取り直して、探索を再開する。どうしても見落としがちになる急斜面を確認している時に、斜面の一部に苔(こけ)が不自然に生えているところが目にとまった。目を凝らすと小さな穴が開いているようにも見える。

 近くに行って確認すると、やはり苔の周辺が小さな穴になっていた。中を覗くと、そこには深い暗闇があった。その暗闇に、もしかすると鉱山跡かも知れないという期待が高まってきた。さっそく、ライトで中を照らしてみると、予想をはるかに超える広い空間が奥深くまで広がっていた。

 その瞬間、ここが探し求めてきた鉱山跡であることを確信した。風雪の影響によって坑口は埋まったものと思われるが、わずかに残されていた穴から見える坑道は落盤もなくほぼ完全な状態を保っているようである。

 発見がもう少し遅れていれば、鉱山跡は完全に埋没していたに違いない。土に深く埋まれば、永遠に人の目に触れることはなかったはずである。寸前のところで発見できたのは、残すべき史跡であったからであろうか。

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