2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(8)こけし雛人形

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 桃の節句を前に、実家に保管していた雛人形を出してみた。今では珍しいと思えるこけしで作られた雛人形であったが、経年による劣化やホコリの汚れがあったのでガラスケースから取り出して慎重に手入れをした。

 そうすることで、雛人形がより身近に感じられるようになった。これまで、さほど興味がなかった雛人形の歴史や五段飾りの内容について調べてみると、あらためて日本文化の素晴らしさを再発見することができた。

 最上段には、内裏雛(だいりびな)の男雛(お殿様)と女雛(お姫様)が並んでいる。位置は、向かって左にお殿様、右にお姫様であるが、京風は逆になる。後ろには金屛風があり、両脇にはぼんぼり(雪洞)が置かれている。

 二段目には、お姫様の身の回りの世話をする三人官女(さんにんかんじょ)が並ぶ。手に持つのは、加銚子(くわえのちょうし)、三方(さんぼう)、長銚子(ながえのちょうし)で、間には高杯(たかつき)が置いてある。

 三段目には、能楽を演じる囃子方(はやしかた)と地謡(じうたい)の五人囃子(ごにんばやし)が並ぶ。手には、太鼓(たいこ)、大皮鼓(おおかわつづみ)、小鼓(こつづみ)、笛、そして謡い手が扇(おおぎ)を持っている。

 四段目には、護衛として従う随身(ずいじん)が並んでいる。向かって左側には若者の俗称右大臣、右側には年配者の俗称左大臣が位置し、左手に弓を持ち矢を背負う。中央には、菱餅(ひしもち)が置かれている。

 五段目には、外出時の従者であり雑用係でもある三人の仕丁(しちょう)が並ぶ。それぞれが、飾り傘として使った台傘(だいがさ)、靴を置くための靴台(くつだい)、日傘の役割をする立傘(たてがさ)を持っている。

 さらに、三人の仕丁がいる五段目の両端には、向かって左がわに右近の橘(たちばな)、右がわに左近の桜が置かれている。これらは、京都御所の紫宸殿(ししいでん)の南庭に植えられていることに由来しているという。

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