2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(11)玲岩山(まんがんやま)

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 最近、『笠戸小学校百年史』を読む機会があった。この本は下松市立笠戸小学校の創立百周年の記念事業として昭和52年(1977)に発行されたものであるが、郷土誌としても非常に読みがいのある内容となっている。

 その中で、特に興味を持ったのが、笠戸島の鉱業について書かれていた箇所である。そこには、「小学校の裏山の俗称マンガン山の中腹に大正時代にさかんに採掘された坑道がある」とマンガンについて記されていた。

 これまで、笠戸島のマンガンについては何度も耳にしたことがあった。「玲岩山」と書いて「まんがんやま」と読むことや中腹に坑道らしき場所があることは、笠戸島を縦走する登山家達の間では常識となっていた。

 それにも関わらず半信半疑であったのは、具体的な資料が欠けていたからである。また、縦走の途中でそれらしい場所を通ったこともあったが、マンガン鉱山を感じさせる雰囲気ではまったくなかったような気がする。

 本を読んで、さっそく、平成26年(2014)に廃校となった笠戸小学校の跡地を訪ねてみた。周辺で、マンガンについて聞いてみると、意外にも、ほとんどの人がマンガン山でマンガンを採っていたことを知っていた。

 当初は小学校跡地から直接裏山を登る計画であったが、道もなく危険であるという地元の人の助言を受けて、比較的安全で整備が行き届いているハイキングコースのスカイ1号を経由して坑道跡を目指すことにした。

 それでも、高低差の大きい笠戸島の山登りは、厳しいものがある。急斜面に張られたロープに助けられながら、なんとか岩盤を削り取った跡が残る坑口に到着した。周辺の地形を確認しながら、慎重に探索を開始する。

 すぐに、黒い地肌のマンガン鉱を発見することができた。ハンマーで割ると、中からマンガン鉱石の一種であるバラ輝石のピンク色が現れた。その息を吞むほどの美しさが、長年の疑問を一気に解き明かしてくれた。

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