コラム・エッセイ
(15)コシアブラ(漉油)
再々周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
ラジオから、コシアブラという名前が聞こえてきた。放送の詳しい内容は、残念ながら聞けなかったが、「天ぷらにして食べるとおいしい」や「タラの芽」などの言葉から推測すると、どうやら山菜のようであった。
しかし、今までコシアブラという名前を一度も聞いたことがなかった。何かの聞き間違いか、何かの別名ではないかと思い、さっそく、西東社の『山菜』を開いてみると、コシアブラがそのままの名前で載っていた。
さらに、「全国各地の山地や林の中」が生育地として書かれていたことから、他の地域のことではないことが分かったが、山間部で育ったにも関わらず、コシアブラを知らなかったことが、どうしても納得いかなかった。
ワラビなどの山菜は食べていたが、ウドやタラの芽などの木の芽を食べた記憶がないことから、もともと木の芽を食べる習慣がなかったとも考えられる。あるいは、コシアブラの生育地域ではなかったのかもしれない。
それらのことを確認するためにも、コシアブラの木を正確に知りたいと思った。図鑑を参考にするだけでは不十分であり、間違いも起きやすい。山菜として食するのであれば、正しい知識を持つことが必要であろう。
周南市には、樹木の名前を調べることができる場所が数カ所ある。もと京都大学演習林であった周南西緑地もその一つで、公園内に植えられた多くの樹木に樹名板が付けられているので、参考にするには最適と言える。
とは言っても、樹木名を記した地図があるわけではなく、広大な樹林の中から特定の樹名板を探し出すのはかなり難しい。体力を頼りに見つかれば運が良いといった軽い気持ちで、散策を楽しみながら探すほかない。
公園の西入口から林の中の道を辿った。目的の樹名板を探し当てるまでにはかなりの時間を要したが、それでも、何とか見つけることができた。高く伸びた枝を見上げると、特徴である5枚の葉が美しく輝いていた。
