2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

(16)コシアブラ(漉油)(2)

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 偶然立ち寄った山口市徳地の特産品販売所「南大門」で、コシアブラの木の芽が売られていた。わずか数日前に、周南市の西緑地公園で生まれてはじめてコシアブラを見ることができたばかりのタイミングであった。

 木の芽を探すために訪れた訳ではなかったので、その驚きは特別であったが、これまで何度も訪れたことがあったにもかかわらず、コシアブラの存在に一度も気づかなかったことのほうがうかつだったのかもしれない。

 すぐに、コシアブラの名前とともに山菜の女王と書かれたシールが貼られているビニールパックを手に取ってみた。いっぱいに詰められたコシアブラの新葉は、まるで油が塗られているかのようにツヤツヤとしていた。

 コシアブラの名前の由来でもある「木の樹脂を漉(こ)して塗料をとった」と言われるほどの樹脂分が影響しているのかもしれない。すでに枝葉は、食べることができるかが心配になるほど成長しているようにも見えた。

 販売所には、コシアブラ以外にも、ウドやタラの芽、ワラビ、フキ、タケノコなど新鮮な山菜類が多く並んでいた。どれも魅力的な食材に違いないが、今回だけは、コシアブラの魅力に勝てるものは他にはなかった。

 コシアブラの産地についてたずねてみたところ、原生のものではなく栽培したもののようであった。どのように栽培するのか、興味をひかれるところではあったが、味を確認してからでも遅すぎることはないであろう。

 コシアブラの味は、山菜の女王と言われるだけはあって絶品であった。特に天ぷらは、言い表す言葉が見つからないほどの美味しさと言える。好みが分かれるところではあるが、ころもは薄い方がいいかもしれない。

 そのほかにも、コシアブラ独特の風味が味わえる混ぜご飯やふりかけご飯などを試してみた。いずれも、トゲ状の葉っぱや赤みを帯びた枝などの見た目からは想像できないほどの新鮮な味と香りを楽しむことができた。

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